La Jolla Institute for ImmunologyのAlessandro Sette博士とShane Crotty博士によるCOVID-19における獲得免疫adaptive immunityの役割についてのreviewです。SARS-CoV-2の特徴として、感染細胞におけるI型interferon (IFN)が関与する自然免疫反応遅延の重要性を示しています。このため自然免疫反応によってprimingされる獲得免疫の誘導が遅延し、ウイルスの複製や拡散が持続し、これを補うために自然免疫反応の暴走が起こって炎症性サイトカインやケモカインの産生過剰が生じ、組織障害を引き起こすことがCOVID-19重症化の本質であるとしています。この仮説はCD4+T細胞の誘導不良が重症化と相関することや、抗体製剤で自然感染の100倍もの中和抗体を投与しても、CD4+T細胞の誘導が生じないためその効果が限定的であることなどのデータとも合致し、説得力があります。また高齢者ではnaive T細胞の存在量が大幅に減少することが重症化の原因となる、男性ではI型IFNの自己抗体を有する症例が多く自然免疫活性化遅延が生じやすい可能性があることなども述べられており、大変勉強になりました。
Sette A, Crotty S. Adaptive immunity to SARS-CoV-2 and COVID-19.
Cell. 2021 Feb 18;184(4):861-880. doi: 10.1016/j.cell.2021.01.007. Epub 2021 Jan 12.
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