ACPA(anti-cyclic citrullinated peptide antibody)を始めとした自己抗体の存在は関節リウマチ(RA)患者の診断に重要であるだけではなく、予後不良因子としても知られています。この論文ではオランダ(IMPROVED study)とスウェーデンのRA患者コホートにおいて、自己抗体の存在と骨密度(BMD)との関係を調べています。いずれのコホートも早期未治療RA患者が中心であり、オランダのIMPROVED studyではDAS<1.6という厳格なゴールを目指しています。
(結果)ベースラインの疾患活動性は、オランダのコホートではDAS 3.3 vs 3.6とACPA陰性群でやや高く、スウェーデンでは3.3 vs 3.2と有意差はありませんでした。オランダのコホートではACPA陽性患者ではベースラインの腰椎・大腿骨近位部のBMDが陰性患者と比較して有意に低く、この差は骨粗鬆症治療薬内服の有無に影響されませんでした。一方スウェーデンのコホートではACPA陽性患者ではBMDが低い傾向にはありましたが、その差はオランダのものほど顕著ではなく、統計学的に有意ではありませんでした。またその後のBMDの変化についてはオランダ、スウェーデンともにACPAの有無に影響を受けませんでした。またリウマトイド因子やanti-CarP抗体などはBMDに独立した影響を有していませんでした。オランダのコホートにおいて、組み入れ後2年間の平均DAS>1.8と比較的コントロールが不良であった患者ではACPAとベースラインBMDとの有意な関係は見られませんでした。
以上の結果はACPAが未治療RA患者の低骨密度と関係している可能性を示しており、自己抗体と骨代謝との関連という観点から興味深いものがあります。ベースラインのRA疾患活動性はさほど変わらなかったことから、このような違いはACPA陽性患者においては骨代謝回転が亢進している可能性を示唆しているのかもしれません。
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