生物のしくみの巧妙さはヒトの発想を超えるものが多く、バイオロジーで言えばノーベル賞を受賞された下村脩博士がオワンクラゲから発見された緑色蛍光タンパク(Green Fluorescent Protein:, GFP)などは大変有名ですし、マテリアルの分野では蚊の針を模して作成した注射針なども好例として挙げられるかもしれません。この論文では深海に生息する六角海綿(hexactinellid sponges)の一種Euplectella aspergillum(カイロウドウケツ; 偕老同穴なんて少しロマンチックな名前ですね)の骨格系に注目しています。この海綿の骨格は、正方形の格子状の構造に二重の対角線ブレイシングを重ね合わせたもので、開いた細胞と閉じた細胞のチェーカーボードのようなパターンを形成しています。有限要素法で調べると、この構造が、与えられた量の材料に対して最高の座屈抵抗を達成することが明らかになりました。このような格子構造を橋やビルなどに応用することで、力学的に強固な建築を低予算で作成することが可能なのではないかと注目されています。人工骨など、ある程度の強度が必要なバイオマテリアルにも応用できそうです。
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