軟骨無形成症(achondroplasia)は線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)の恒常活性型変異によって軟骨の成長に障害が生じ、低身長や四肢短縮を呈する疾患です。薬物療法としてはこれまで成長ホルモンの投与などが行われてきましたが、その効果は限定的でした。C-type natriuretic peptide(CNP)は骨伸長促進作用をもつ生理活性ペプチドであり軟骨無形成症に対する効果が期待されていました。日本からも京都大学名誉教授の中尾一和先生のグループなどから優れた研究が報告されています。今回CNPアナログであるvosoritideの軟骨無形成症に対する有効性を検証した無作為化二重盲検第 3 相プラセボ対照多施設共同試験の結果が報告されました。5歳以上18歳未満の患者に対してvosoritide150 μg/kgまたはプラセボのいずれかが投与され、52週間における平均年率成長速度のベースラインからの変化をprimary endpointとしています。結果はvosoritide投与群において、プラセボ群より1.57 cm/年成長が早かったというものです (95% CI [1·22–1·93]; two-sided p<0.0001)。憂慮すべき有害事象は出なかったとのことであり、今後軟骨無形成症患者に対する標準治療になっていく可能性があります。
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