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歩数が3割に減るだけで、筋トレ3カ月分が台無しに

2021-09-28 08:30:00 | 日記

下記の記事は日経グディからの借用(コピー)です  記事はテキストに変換していますから画像は出ません

 年を取るにつれ、体力、健康、そして見た目は少しずつ衰えていく――。いわゆる老化だ。老化は避けがたいものとはいえ、できるだけ遅らせたいというのは多くの人の共通の願いだろう。では、具体的にどうすればいいのだろうか? 本連載では第一線で活躍する医師や専門家にアンチエイジングの実践的な方法を聞いていく。
 最初のテーマは「筋肉」について。リモートワークや外出自粛が通常モードになって、運動不足がすっかり定着してしまった人も少なくないだろう。そんなコロナ禍での「不活動」が、「筋肉を減少させるだけでなく、全身の健康リスクを高めている」と警鐘を鳴らすのは、立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授。「体を動かす」という基本的な習慣が、若々しい体の維持をいかに支えているか再認識しよう。
在宅勤務が続いて、外に出る機会も減ってあまり歩かなくなると、どんどん筋力が落ちていく? (C)fizkes-123RF
「コロナ不活動」で世界中の人が運動不足に
 今なお感染拡大が続く新型コロナウイルス感染症。在宅勤務によるリモート生活が定着したり、出かけることが減ったりするなど、運動不足を実感している人も多いのではないだろうか。
 このパンデミックによって世界的にも運動不足が起こった、という報告が、医学雑誌「Nutrients」で発表されている(下グラフ)。
 報告は、パンデミック前後の生活スタイルの変化を明らかにするための国際調査の先行解析によるもの。その結果、激しい運動、中等度の運動、ウォーキングの時間、いずれも30%程度減った一方、座り時間が30%ほど増えていた。
 また、同時に行われた食生活調査では、ステイホーム期間は不健康な食品を摂取する頻度が高まり、食べる量をコントロールできなくなり、間食や深夜の軽食の頻度が高くなり、反対にアルコール摂取は減少する、という傾向が見られた。
 あなたの生活と重なる部分も多いのではないだろうか。
 「コロナ禍によって、感染拡大を防ぐために、通勤や通学ができなくなり、これまで当たり前だった日常生活の活動量が大きく減少しました。ヨーロッパではロックダウンを行った都市でも我慢できず外に出始めた人が多かった一方、日本では緊急事態宣言が解除された後も、現在までずっと活動の低下状態が続いていることも指摘されており、体への影響を危惧しています」と、立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授は言う。
った2週間の運動不足で筋肉量が減少
 藤田教授が問題視するのは、活動量不足による筋肉量の減少だ。
 「歩数を普段の3割ほどに減らすという研究では、たった2週間で筋肉量が約4%減少しました」(下グラフ)。
オンラインで取材に応じる藤田教授。
 たった4%、と侮ってはいけない。「筋トレを3カ月間一生懸命頑張っても、増える量は3~4%ほど。それだけの筋肉量が、活動量の減少によって一気に減るということが示されたのです」(藤田教授)。
 通常に生活していても、筋肉は30歳代以降1年に1%ずつ減っていくといわれる。少し運動不足が続くだけでも、短期間のうちに、まさに老化の凝縮ともいえる現象が進行するのだ。
 とはいえ、歩数を減らすだけで筋肉が減るというのは、意外な気も……。筋トレもせず、ただ通勤や買い物などで歩いているだけでも筋肉が維持されていた、ということなのだろうか?
 「歩くこと自体がとても重要で、歩くことは筋肉量の維持に貢献しています。もちろん歩くよりも負荷をかける筋トレは大切ですが、歩数が一気に減ることによるリスクは想像以上に大きいのです。寝たきりの状態になると筋肉量が大幅に減少しますが、トイレに行くなど、少しでも歩数を稼ぎ、筋肉を多少なりとも使うことによって筋肉量の減り方が変わることもわかってきています」(藤田教授)。
 運動不足を反省してしまうが、「それも自然な現象です。動かなくていい環境ならば、筋肉を無駄に持っていてもエネルギーを食うだけなので、体が必要ないと判断すれば、筋肉が減るのは当然の結果なのです。だからこそ、意識的に運動習慣を取り入れることが大切です」と藤田教授は言う。
筋肉は全身の健康を担保する「保険」になる
 前出の2週間の運動不足実験では、脚の筋肉量だけでなく、糖尿病に関わるインスリンにも悪影響が起こっていたことにも注目したい。
 実は、筋肉の減少は、全身の健康に悪影響をもたらすことが近年、続々とわかってきているのだ。
 韓国で、筋肉量と2型糖尿病の発症の関連を調べた前向きコホート研究がある。この研究では、筋肉量が少ない人は2型糖尿病リスクが高くなった。BMIで分けたところ、非肥満の人で11.9%、肥満で19.7%、リスクが増加した(下グラフ)。
 糖尿病とは、血糖値の上昇を抑えるインスリンというホルモンの不足や働きの低下によって、血糖値が高い状態が続く病気のこと。アジア人は、他の人種に比べて、肥満度が低い状態でも糖尿病になりやすいことが知られている。
 その原因と考えられているのが、内臓脂肪と筋肉量の低さだ。
 「すい臓からインスリンが分泌されて血糖値が低下する際に、大部分のブドウ糖は筋肉に取り込まれます。しかし、筋肉量が少ないということは、糖の貯蔵庫が小さいということを意味します。すると、血中のブドウ糖が減りにくくなり、高血糖の状態が続くのです」(藤田教授)。
 筋肉量が少ないと、糖の貯蔵庫もミニサイズになってしまう。貯蔵庫に取り込まれずだぶついたブドウ糖は、肝臓で脂肪に変換され、中性脂肪値が高くなる。血液中の中性脂肪値が高い状態は動脈硬化のリスクを高め、心筋梗塞などの心血管疾患を起こしやすい状態になる。つまり、筋肉量をしっかり維持しておかないと、体内で老化の進行スピードを速めてしまうのだ。
筋肉量が少ないほど糖尿病リスクが高くなる
6895人の糖尿病を発症していない男女(平均年齢52.1歳)を、平均筋肉量指標(MMI)の低値、中値、高値の3分位に分けた。追跡期間中に19.4%の人が2型糖尿病を発症。肥満がなく筋肉量が高値である人を1とした場合の2型糖尿病リスクを見たところ、肥満している、いない、いずれの場合も、筋肉量が低い人は2型糖尿病発症リスクが高くなった。(データ:Diabetologia. 2017 May;60(5):865-872.)
 さらに、筋肉を作る材料として忘れてはならないのが、たんぱく質だ。
 71万5128人の男女を対象に、たんぱく質摂取量と死因との関連を調査した研究を解析した結果、動物性たんぱく質、植物性たんぱく質を合わせた総たんぱく質摂取量が多いと全死亡リスクが低く、植物性たんぱく質の摂取は心血管疾患による死亡リスクの低下とも関連していたという(*1)。
 「筋肉の維持のために欠かせない要素が、筋肉を作る材料となるたんぱく質を食事でとること。たんぱく質の摂取は、筋肉のみならず、ホルモンや細胞、血液、酵素など、全身の組織すべての維持に関わります。筋肉量と腹部手術の術後について8つの研究を検討したところ、筋肉量が少ないと合併症リスクが大幅に増加し、予後も不良となることが報告されました(*2)。筋肉量は、全身の組織が健康であることを証明する指標になる。つまり、筋肉を蓄えておくと、万が一の備えになる。生きていく上で蓄えておきたい、保険のようなものといえます」(藤田教授)。
 アンチエイジング実現には、筋肉を維持すること、そのためにたんぱく質をとることが必須条件というわけだ。



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