徒然草庵 (別館)

人、木石にあらねば時にとりて物に感ずる事無きに非ず。
旅・舞台・ドラマ・映画・コンサート等の記録と感想がメインです。

真田十勇士 (2015年再演) 6回目 ネタバレあり 

2015年01月26日 | 舞台


24日夜、前楽に行ってきました。

水曜日の変化を見て「なるほど、こう変えて来たか」と思っていたのですが、何とまあ!!甘かった!!大いに動きが変わり、思わず「すごい!」と唸ってしまう新演出も。それがアクシデントによる急拵えのものとはとても思えない、実に見事な決まり方で、改めてキャスト&スタッフ「真田四十勇士」の総力で乗り切っていることに感動すら覚えました。あのアクシデントを知る人も、知らない人も、そんなことは関係なく存分に楽しめた素晴らしい上演回だったと思います。(個人的には千秋楽よりも良い出来だ!と思ったくらいです。7回の中ではマイベストかも!)

ほぼ同キャストでの再演、それもプラスに働いたと思います。ですが17日の一部始終を観て大ショックを受けた人間としては「あれだけのピンチをよくぞここまで…!」と思い、シナリオとは別の意味でも目頭が熱くなりました。一つ一つのシーンが決まるたびに「よし!」「やったね!」とガッツポーズをしたくなるような。観客としてよりも、気持ちはむしろもっと近くにいて、一緒に舞台を見守り作り上げる「仲間」としての応援に近い「この気持ち、舞台上に届け!」…そんな不思議な共感と臨場感に満ちた三時間でした。

以下は気付いた殺陣・演出変更点の一覧です。





≪第一幕≫
駿府の森:上段下手側から斜面をお尻でつつーっと滑るようにして登場(知らない人は転んだようにも見えるかも?)舞台を横切り鎌之助のいる段の下へ、才蔵が現れるとよじ登って中上段へ。右ふくらはぎのテーピングのせいで、衣装(袴)の右の裾が少しだけ短くなっているのと、右足の脚絆下が膨らんでいるのが分かる。

総構えのめしやで腕試し:清海と伊佐が打ちかかり、身を交わしながら手を使って軽くいなす&仰向けに倒れこんで足で2人の錫杖をはらいのける。ここで二人の財布を盗るのは同じ。清海が佐助の両脇を挟んで持ち上げ、そこを伊佐が攻撃するが、佐助の足バタバタ攻撃で撃退!(笑) この場面、清海の力技でかなりアクティブに変化。
残りの真田側との戦いはとっさに佐助が(卓に置かれていた)箸を飛苦無のように使い、勇士たちの刀や手元、額に見事に命中させる!という離れ業に変更。今までとは違う佐助の細かな技が光るシーンに。なお箸をシュパッ!と受け止める(ふりをしている)勇士たちの手元にも注目。幸村様にも投げつけるあたり容赦ないw ちなみに六郎のみ額に刺さって慌てる仕草。※刀での殺陣はナシ

十勇士誕生:幸村様に名前を呼ばれる場面。これまでは佐助が一人だけ「おうっ」と答えて、怒った甚八や小介が刀を抜きそうな勢いで睨みつける場面…だったのが、鎌之助に「ちゃんとしろぃ」とばかりに片手で足払い(笑)かけられて、一応跪くものの、それでもエラソウ。なのに前楽&千秋楽では「猿飛佐助!」と呼ばれたらちゃんと頭を下げて「ハハッ」と跪いていた。中の人の気持ちとしてはそうだよなあ…と思わずにはいられなかった。

秀頼寝所:前回と変わらず下手から登場。多少動きはスムーズになったものの、刀を扱う手つきが少しだけ(負傷前より)ゆっくりになったかもしれない。突き出された槍を同時に両手でつかむ動きから、目の前でクロスした槍をつかむ動きに変更。←足を捻る動きができないからだろうか?

淀の方の尋問と幸村の献策:変わらず(21日と同じ)

真田丸の建築現場:ハナと才蔵が話している所に佐助が現れる→立ち去る才蔵に「なぁなぁ才蔵、あのしゅっと投げてボンってなるやつ、俺にもくれよー」と佐助が可愛くおねだりするが、才蔵は苦笑いだけしてハケてしまうのが大笑いww

冬の陣中央通路勢揃い→突入:参加せず。佐助は雑兵の衣装をかぶって変装して上手袖から登場、脱ぎ捨てて戦に加わる動きに。
※前回下手だったので見えていなくて間違えました、すみません。上から見てようやく把握しました。

冬の陣:十勇士の殺陣の時間配分は変更なし。新兵器マキビシ登場!!!
佐助は中段上手から一人で登場。おもむろにマキビシを(すんごく嬉しそうに)撒き始め「マキビシ~~~!!!」(笑)
刀を置いて「早く敵こないかなー」と言ってる所に→敵兵登場、マキビシ踏んで痛がってるところを刀で斬り払い、ラストも中段~下段の滑り台(笑)が復活。お約束的に自分のお尻にもマキビシが刺さり「いってー!マキビシ、厳しーっ!」と叫び、観客大笑い。そこへ下段上手から雑兵1名登場。佐助「かかってこいよ」雑兵「ちょっと待って!」仲間を引き連れて来てどどーっと追いかけ、佐助は慌てて下手へ逃げていく。

冬の陣勝ちどき:下手の端っこに佐助が加わり、元通り十勇士と幸村様で勝ちどきを上げる。

冬の陣終了→第一幕ラスト勢揃い:最上手の立ち位置は変わらず。(21日と同じ)





≪殿アドリブ≫
幸村様「あのごつい手で作ったと思うと腹も立つのだが…ところで。真田丸の周囲にマキビシを撒いた者がおる…」
佐助(知らん顔)
幸村様「こら!どこを見ておる!」
佐助「鎌之助が撒いたんじゃないかなぁ~?」(目を逸らす)
幸村様「目撃者がたくさんおるわ!(と、客席の方を右腕で指し示す)お前はマキビシを撒いたら敵だけではなく味方も踏むとは考えなんだのか!!(怒)」(爆笑)
佐助「えーっと…」
幸村様「痛いではないか!!!」(大爆笑)
佐助「ごめんなさい~」(笑)


 ☆


≪第二幕≫
大助とのいさかい:元通りの動きで佐助が小介を殴る。
大助とも殴り合いにはならず掴み合い→鎌之助と甚八に引き離される。甚八は大助に突き飛ばされる。

西芳寺:中段石灯籠の陰から登場。墓石に隠れる→射られる。ハナが中段から下まで降りてきてくれるおかげで殺陣はちゃんと成立。銃は手で弾く動きに。下段を中心に伊賀忍軍と真田側の小競り合いが続くが、投げ縄がかかるシーンは佐助が多少中段に動き、ちゃんと絡むように修正。縄を切りに行くのが才蔵と鎌之助と大助。

真田屋敷の酔っ払い場面:立ち位置ほぼ変更なし。最後の下手ハケが中段から下段に変更。追いかける十蔵は中段ハケに変更。(21日と同じ)

大坂城本丸:中~段斜面下手側の床穴から登場ではなく、下手の虎の屏風の陰から出現。あとの動きはほぼ変更なし。

鎌之助と夕日を見る:最上段の立ち位置のままで、これまでとほとんど変化なし。ハケの動きは若干良くなった。

紀州の山中:上手中段から登場。斜面ではなく中段の平らなところで伊賀忍軍との殺陣。(21日と同じ)

半蔵とのにらみ合い~才蔵の再登場~逃げかけるシーン:佐助は上段にとどまり、才蔵のみ下段へ。(ほぼ元通りの立ち位置)甚八と小介はこれまでどおり半蔵と対峙しつつジリジリ上段へ。半蔵は中段へ移動して甚八&小介&佐助と対峙。

花風の狙撃:ほとんど変わらず。

半蔵に斬りかかる場面:半蔵が佐助の足も斬り傷つけるシーン追加。刀を手にするまでは変わらず、あまり動けない分、小介と才蔵が半蔵の動きを止める殺陣を全て担当。甚八はハナをお姫様抱っこして最上手に。小介が足を引きずりながら戦いに加わろうとする佐助に「お前は引っ込んでろ」と言って突き飛ばす。
半蔵が才蔵と小介にやられて中段から下段までゴロゴロ~っと転落してくる。そこに佐助が止めを刺そうとする→才蔵が「待て佐助!これ以上お前の手を血で汚すな!お前が掴むのは、あの人の手だ!」甚八が下段でハナの手当てをしながら「大丈夫だ、傷は浅い」と語りかける流れに。ところでこの場面、才蔵が西芳寺で(甚八に)斬られた胸元の傷を時々押さえながら半蔵と立ち合ってるのが細かい。

佐助とハナ退場:変更なし。

ラスト十勇士勢揃いシーン:変更なし。最上段から佐助がセンターを降りてくる。(21日と変わらず)


 ☆


間近で見る最後の機会だったこともあって、余計にひとつひとつの場面、台詞、表情が深く強く心に刻み込まれるようでした。

目の前すぐを駆け抜ける幸村様や十勇士の姿に、何度も観ているのにやっぱり血が騒ぎ胸がとどろき…これでは完全に中毒症状?(笑)千秋楽と地方公演が終わったら巨大な「真田ロス」に陥りそうで恐ろしくなっておりました。

この日の冬の陣での小さなハプニング。「真打!」「よっ!待ってました!」とばかりに舞台最上段・上手から幸村様が登場。槍を片手に雑兵3人を瞬時に突き伏せる…その時、またもや額に巻いた赤い鉢巻が解けてしまわれました…。
この間の2列目で観た時のような神憑り的タイミングじゃなかったので、ちょっと残念?!というか、あの鉢巻の構造に、たぶん弱い部分あるんでしょうね。2回とも幸村様が全力で振りかぶる/回転をかけるシーンで解けてましたので。

そのまま鉢巻はモブが拾ってどこかへやってしまい、期待した「才蔵が結び直してさしあげる」という展開にはなりませんでした。←当然だ!w


 ☆


なお、東京千秋楽のレポートは手短にカテコのキャスト挨拶のみにまとめ、次回は再演総括も兼ねてゆっくり書く予定です。
しばらくお時間を頂くことになると思いますが、気長にお待ちいただければ幸いです。


(了)