徒然草庵 (別館)

人、木石にあらねば時にとりて物に感ずる事無きに非ず。
旅・舞台・ドラマ・映画・コンサート等の記録と感想がメインです。

無伴奏ソナタ 2014 (2回目・ネタバレあり)

2014年09月30日 | 舞台


キャラメル舞台に友人を誘ってみた!企画の第○回目?です。

今回同行したのは、芝居もしてギターも弾き、未だ音楽とは人生切っても切り離せない?サラリーマン。
手っ取り早く言えば、仲の良い会社の同期の友人です。

音楽をやっていると知っていたからこそ「この話は是非観てほしい!」と思ったのですが、短い公演期間で都合が合うかどうか。声をかけたら奇跡的に1日!時間が合ったので、もともとの予定に+1回して観に行くことになったのでした。もちろん今回はハンカチ持って!さすがに2回目、私自身どんな心理状態で観ることになるか予測がつかなかったのです(^^;



キャラメルボックス『無伴奏ソナタ』②

今日は平日夜なのにほぼ満席、私たちのポジションは19列目の超センター。遅くに取った割には高さも位置も、初見の友人には理想的だったらしく「おお~!お客さん平日なのにいっぱい入ってるじゃん。この雰囲気いいね!それに予想以上に良い席だね、真ん中で、床の傾斜まで見えるし、照明効果も音響も満足行くと思う!」と喜んでおりました。早速その辺チェックするとは、やるなお主!←今回は「公演数少ないから!」と説得して、当日ハーフプライスではない通常券で来たので、ちょっと嬉しいw





≪不思議なあたたかさ≫

私自身意外だったのですが、2回目終演したときの感想は「1回目とは全然違う印象!」同じ物語なのに、涙よりも「じわぁーっ」と包み込むような暖かな感情が全身に満ちていって、ラストはその暖かさをそのまま(振り向いた)クリスチャンに心からの喝采で伝えているような想いが。
目に涙を浮かべ、震える手で帽子を取り、一礼するクリスチャンの姿…私だけでなく、友人も、劇場中の誰もが、文字通り万雷の拍手を送っていました。その拍手に2時間を壮絶に&純粋に生き切ったクリスチャンへの愛を痛いほどに感じながら…。あの喝采、あの静かな(例のごとく誰も立たない)熱狂は、まさしく愛!それしか表現できる言葉を思いつかない!!

終演後の劇場内もロビーも人がいっぱい溢れていました。みんな無言でアンケート用紙に感想を書きまくってて、とにかく凄いことになっていました。あの熱気、人の心を静かに激しく揺り動かす舞台だったんだな…と。そしてこの光景にも劇場の皆がクリスチャンを心から愛していたんだ!と確信。ちょっと涙目になりました。

終演直後から池袋駅までおしゃべりしながら歩いて、友人と別れて電車に乗っても、まだ身体中が内側からほんわりと暖かいのを感じていました。
そもそも原作『無伴奏ソナタ』というのは淡々とした文体に騙されそうになりますが、かなり孤独で残酷な物話、という印象がありました。なのに!何故かこんなにも自分の中(心?)の「何か」に響いてくるのです。あの舞台から発せられるものを受け止めて、出来た「皹(ひび)」から、最初は涙がとめどなく溢れていたのですが…この2回目では優しい暖かさがいっぱい湧き上がってきました。

ハッピーエンドじゃない。目に見える救済はあの遅すぎるかもしれない「喝采」それでも…何という素晴らしい充実感。一人の人生を一緒に歩みきった!というか、様々なことを考えながら「クリスチャンと一緒に2時間強烈な密度で生きた!」そんな舞台の熱やエネルギーがそのまま、灯火のように心にぽうっと点っている気がします。この気持ちを大事に抱えて帰りたい、と思いました。

この舞台。原作の素晴らしさと、キャラメルボックスらしい「人間への愛」が混じりあって生まれた、凄い化学変化ではないでしょうか。3回目は至近距離から観るので、もっと「打ちのめされるような」場面も多くなる予感がして、期待と戦慄を感じています…。



階段シアター最終場面





≪友人の感想≫

翌日出張なのに付き合ってくれた友人にはただただ感謝!飲みに行くのは諦めましたが、駅までの帰り道に時間を惜しむように熱っぽく語っておりました。見事に同じことを考えてたり「やっぱり!」と思ったり、嬉しかったなぁ〜♪(^-^) ←誘った甲斐があった!!!


以下は話してくれた感想です。


・音楽をやっているなら是非観てほしい、って誘ってもらったけど、第三楽章の工事現場のシーンは昔の部活を思い出したりして、本当に楽しかった。クリスチャンが楽しそうに歌うのも、ギターを弾いてるギレルモの生き生きした姿もね。懐かしい、どこかで自分が昔こんなことやってた、そんな記憶の戻ってくる場面だった。ギターを弾いてた役者さんは上手いね!あれだけ弾いたら一つ二つは外す音があってもおかしくないのに、一つも変な音出してなかった。(私「ハーモニカが加わった時、私ものすごくテンション上がっちゃったんだよねw♪」)そうそう!ギターも良かったし、あのハーモニカがまたねえ…良かったなあ!胸にぐっと来たよ!自分も楽器持って加わりたくなった!(笑)

・印象に残った役なら、やっぱりクリスチャン(=多田直人さん)を挙げたいね。彼自身がストーリーテラーで、当たり前だけど舞台上の全員が主役の彼を盛りたてていたし、それに見合うお芝居を見せ付けてくれた気がする。ラスト含めて物語をこれほど印象的なものにしてたのは彼の持つ「雰囲気」だと思う。クリスチャン役の俳優さん、何歳なの?(私「確か30歳…だと思う」)へえぇ!若く見えるね!というか、年齢不詳の不思議な透明感があって、クリスチャンという役に素晴らしく似合ってた。舞台の中で30~70代くらいまでを演じていたけど、クリスチャンみたいに純粋さや透明感のある人って、きっと年を取ってもどこか年齢不詳の不思議な雰囲気のままでいるだろうな、って思ったわけよ。そのイメージに、彼の演技もたたずまいもそのまんまピッタリだった。素晴らしいな、と思ったよ。

・もう一人挙げるなら、客演の俳優さん(=石橋徹郎さん)。「ウォッチャー」という役もカッコよかったし、それに似合う雰囲気、立っているだけで空気が違うような存在感と、付け加えるなら物凄く良い声の持ち主!うわあ!華があるなあ!カッコいいなあ…ってね。こういう感じの俳優さんってキャラメルボックスにはいないじゃん?キャラメルの俳優さんはみんな役のせいかな、かわいらしい感じ(!)の人、多いもんね。(私「あはは…w確かに!」)ウォッチャーとクリスチャンが対峙するたびに、観ているこっちがドキドキするくらい緊張した。すごかった。

・ウォッチャーの最後の台詞に「クリスチャンが本当に求めていたもの(=聞く人からの賞賛、喝采)」というのがあって、思わず涙が出そうになった。自分のためにだけ音楽を作っていた純粋培養の青年が、人のために音楽を創ることを知り、その喜びに目覚めていく過程にも、あんなに傷ついて、ぼろぼろになって、それでもなお求め続けたものを最後に与えられる、という「結末」にもね。バックの人たちが拍手をして、それからクリスチャンが振り向いて、何かを訴えるような目をした時に、周り(観客席)からすごい拍手が沸きあがったのは感動的だった。ホントにゾクゾクしたよ。この一体感、すごいエンディングだな!って。

・2時間、一言で言うなら「何だかものすごく不思議な舞台」…観ている自分も不思議な感覚だった。予想に反して(特に第一楽章は)淡々と進んでいく話だな、この舞台はウワーっと盛り上がる何かじゃないんだな、と多少意外に思いながら観てたんだけど。だんだん、台詞や物語の中で繰り返される問いかけや、クリスチャンの姿を見ていると「幸せとはなんだろう?」「音楽を作るということ、創作ということはなんだろう?」「人の幸せを守っているのが法律と言うけれど、その法律は本当に正しいのだろうか?執行者の意思はあるのか?人と法が対立した時に法が優先するのか?」って、頭の中で考えが止めどなく回り始めてね。気がついたら2時間が終わっていた…っていう感じなんだよ。

・普通に生活してたら普段こんなことわざわざ話さないじゃん?「何があったの?」とか逆に聞かれるって。(笑)(私「中二病こじらせたの?とかねw」)そうそう。でも、舞台って非日常で、しかもこの舞台は「観た人間を無理やり深刻に考えさせる」重苦しい話じゃなくて、むしろその逆…楽しいシーンや小ネタもあって、何度も声上げて笑っちゃったけど、そうやって「自分にとって○○ってなんだろう」と自問自答できるのは幸せなことだし、こうやって誰かと観終わった後話をするのもすごく良いことだなって思った。一人で観るのももちろん楽しいんだけどね。他人と感覚を共有するって、そうそうできることじゃないし。今日は本当にこの舞台を観られて良かったと思う。ありがとう!!






それだけ言ってくれたら誘った人間として&キャラメル好きとして冥利に尽きますわ…
. 。・゜・ (ノД`)・゜・。
君のような良い友人を持てて幸せだよ。また時間とお金作って観にいこうぜ!


というわけで、明日はいよいよ前楽。
先行で予約した「超・前方!!センター良席!!!」(^-^)/


これまでの総決算で「ガン観」してきます!!!!!!! ←何なんだこの意気込みはw