いつのまにか、
夜中の2時近くになっていた。
「じゃあそろそろ」
と、言ったのは、わたしだった。
あのひとからそう言われるより
も先に、自分で言ってしまった
方が、踏ん切りがつけられると
思って。
だけど、言ってしまってから、
後悔した。
「そろそろ」のあとに、うまく
言葉が続かなかった。本当はこ
のままずっと、しゃべっていた
い。
朝まで話しを聞いていたい。
つながっていたい。そんな
気持ちが波のように、寄せて
は返していた。
「信じられないくらい、長
話しちゃったね。もう眠いで
しょ?そろそろラップアップ
しなきゃ」
「ラップアップ?」
「電話、なかなか切れない時
てあるでしょ。電話を切る。
終わらせる、やめる。どれも
言いにくいし、言いたくない。
そういう時、この英語が便利
なんだよね。
包んでしまいま
しょって(ラップアップ)
爽やかな、あのひとの声。
絶望的な、わたしの気持ち。
「向こうに着いて落ち着い
たら、必ずメールをお送りし
ます。お元気で。今夜の電話、
ほんとうにサンキュ。
じゃあ、ひとまずさようなら」
一点の曇りもない声であのひと
はそう言い、受話器は置かれた。
その瞬間わたしは、真夜中の
片すみに取り残された、
ひとりぼっちの深海魚になっ
た。
YouTube
The Look of Love P. Austin
https://www.youtube.com/watch?v=F5_1REVEz20
夜中の2時近くになっていた。
「じゃあそろそろ」
と、言ったのは、わたしだった。
あのひとからそう言われるより
も先に、自分で言ってしまった
方が、踏ん切りがつけられると
思って。
だけど、言ってしまってから、
後悔した。
「そろそろ」のあとに、うまく
言葉が続かなかった。本当はこ
のままずっと、しゃべっていた
い。
朝まで話しを聞いていたい。
つながっていたい。そんな
気持ちが波のように、寄せて
は返していた。
「信じられないくらい、長
話しちゃったね。もう眠いで
しょ?そろそろラップアップ
しなきゃ」
「ラップアップ?」
「電話、なかなか切れない時
てあるでしょ。電話を切る。
終わらせる、やめる。どれも
言いにくいし、言いたくない。
そういう時、この英語が便利
なんだよね。
包んでしまいま
しょって(ラップアップ)
爽やかな、あのひとの声。
絶望的な、わたしの気持ち。
「向こうに着いて落ち着い
たら、必ずメールをお送りし
ます。お元気で。今夜の電話、
ほんとうにサンキュ。
じゃあ、ひとまずさようなら」
一点の曇りもない声であのひと
はそう言い、受話器は置かれた。
その瞬間わたしは、真夜中の
片すみに取り残された、
ひとりぼっちの深海魚になっ
た。
YouTube
The Look of Love P. Austin
https://www.youtube.com/watch?v=F5_1REVEz20