男は、遊牧民だった。
けれど、羊も山羊も牛も
馬も犬もロバも飼っては
いない。
家族もいない。友だちも
いない。遊牧民はまった
くもって、ひとりぼっち
だった。
アーモンド色の瞳と、地図
のように広い背中と、ぶあ
つい手のひらの持ち主。
背中のまんなかまで伸びた
髪の毛には、銀色の白髪が
混じっていた。
きょうこそ、あの男に
好きといわせてやる。
鈴愛は握りしめたペンに
きりきりと力(りき)を入れた。
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Fly Me to The Moon - Diana Panton
https://www.youtube.com/watch?v=xBSuxSQQkFE&list=RD9z3jCiCrsx0&index=3
ある雨あがりの秋の朝の
ことだった
あなたが去ったあとの
せつない空を見上げて
もう綺麗でいないですむ
もう きれいだなんで言われなくてすむ
あなたが いないから・・・
悲しい空でした
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米津玄師 MV「Flamingo」
https://www.youtube.com/watch?v=Uh6dkL1M9DM
ふっと手を取られて、そのまま海
の深みまで、引き込まれてしまい
たい。本当の恋人同士に、なりた
い。これまでのわたしと、今のわ
たしと、そしてこれからのわたし。
あるがままの女を、あのひとに
明け渡したい。
願っていた。気持ちだけではなく
て躰でも、つながりたいと。
すべてを差し出したいと、わたし
は飢(かつ)えていた。
あのひともそれを望んでくれてい
る。そう確信していた。
二十二歳の秋。信じていた。二十
二歳の確かさと脆さで。
わたしたちはお互いに、求め合って
いると。
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小曽根真 ~We're All Alone~
https://www.youtube.com/watch?v=lShczUI2VUs
金 K18 ¥4920
プラチナPT950 ¥3160
【買取値】
佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
アーケード十二町側
~ヤナギダ~
☎0267-62-0220
あのひとの言葉を、ひとつ残らず
覚えている。
優しい言葉も、熱の籠った言葉も、
さり気なく置かれたひとことも、
ただの相槌でさえも。いいえ、それ
は覚えているのではなくて、突き刺
さっているのだ。
ガラスの破片のように、柔らかい
薔薇の棘のように。だからわたし
の胸は、こんなにも、痛い。
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小林桂/枯葉 / Kei Kobayashi/Autumn Leaves
https://www.youtube.com/watch?v=ejkItClNHvw
忘れな草の水色を滲(にじ)
ませた、夕暮れ前の空。
ときどき、急に何かを思いだ
したように、吹いてくる突風。
ここは成田空港の出発ロビー、
ごーっと唸るジェットエンジ
ン音。
日常から切り離された、どこ
かよそよそしい、緊張を孕(
はら)んだ空気に包まれて、
わたしたちはただ、寄り添っ
ていた。あのひともわたしも、
言葉を失っていた。
五分前に会えた、でも五分後
に迫っている、別れを前にし
て。
「驚かせてごめんなさい。で
もどうしても会いたくなって」
「俺も。もう、どれだけ会いた
かったかというと」
言葉はそこで途切れて、長い両
腕を持てあますようにしながら、
ぎこちなく、それでいて、まる
で電流のように容赦なく、
あのひとは、わたしの躰を抱き
しめてくれた。男の腕だと思っ
た。欲望を感じた。わたしの
欲望だ。心臓が、早鐘を打ち
鳴らしていた。
あのひとに、聞こえてしまうの
ではないかと思えるほど、好き、
好き、好きと。恥ずかしいくら
いに。でもその時、わたしの耳
はちょうどあのひとの心臓真上
にあった。
だから、聞こえた。あのひとの
胸の鼓動。それはわたしの鼓動
よりも何倍も烈しく、波打って
いた。
それから、キスがやってくる。
天気のいい休日、のんびりと
散歩している老夫婦の姿を
見た。
”老ふたりお互いに
空気となり合ひて有るには
忘れ無きを思わず“
いないことを思わない、たとえ
「死」というものが、ふたりの
肉体を一時的に引き離したとし
ても、
心はいつまでも「無きを思はず」
なのだ。
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"Butterfly" - Gretchen Parlato & hr-Bigband
https://www.youtube.com/watch?v=X56EdGhz3a4
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ジャックナイフのように
ひらめかせて、人の胸の中を
一突きするぐらいは朝めし前
だ。だからネット世界は怖い。
だが、同時に言葉は薬にもな
る。さまざまな心の痛手を癒
すための薬に。
言い尽くしているが、
言葉を友人に持ちたいと思う
ことがある。
それは、旅路の途中でじぶん
がたった一人だと気がついた
ときにである。
たしかに言葉の肩をたたくこと
はできないし、言葉と握手をす
ることもできない。
だが、言葉にも言いようのない、
旧友のなつかしさがあるもので
ある。
時には、言葉は思い出にすぎ
ない。だが、ときには言葉は
全世界全部の重さと釣合うこ
ともあるだろう
そして、そんな言葉こそが
「名言」ということになる
のである。
だが、新コロナ・ウイルス
で本当はいま必要なのは
名言などではない。
むしろ、平凡な一行、一言で
ある。
まさに、ブレヒトの「英雄論」
をなぞれば
名言のない時代は不幸だが、
名言を必要とする時代は、
もっと不幸だ」からである。
そして、今こそ
そんな時代なのである。
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Quartetto Moderno - Love Theme from Spartacus
https://www.youtube.com/watch?v=fPWJ_ONnbxI
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