ミノやマル腸を食べていると、「内臓肉をホルモンと呼ぶのはナゼ?」という疑問が提起され、その場で手分けして検索し討論した。
(1)ホルモンの呼び名には本来の意味の「ホルモン=学術用語説」と、関西弁の「捨てるもの=放(ほ)るモン説」の2説がある。
(2)ホルモンが肉食の一分野として定着化していったのは、社会的にも食糧事情的にも非常に厳しかった日中戦争~太平洋戦争前後の時代。
(3)内臓肉の特徴は、筋肉である普通の肉と比べて非常に腐りやすい=食中毒になりやすいこと。それは腸や胃や肝臓などの消化器官には、それぞれの部位ごとに消化液や酵素や血液などの体液や大腸菌などの細菌が詰まっているから。このため、当時の常温での流通では内臓肉の販売は困難だった。
(4)だから関西人が、もったいなく思いながらも内臓肉を一括して「放るモン=廃棄物」と呼ぶことは合理的で、それが一般化したとする説は説得力が高い。
(5)一方の学術用語説は、ホルモンが分泌・作用する場所=内臓を食べれば、生命力や精力がつくという疑似科学的な考え方を前提に、特定の料理店が命名し、メニュー化したものが流行したとする説だ。
ただこの説は前提となる内臓肉の流通の困難さの問題を克服した後(冷蔵技術の進歩後)でないと一般化することは不可能。以上のことから、われわれは「ホルモン=放るモン説」が先行して存在していたハズだと結論づけた。