追憶の彼方。

思いつくまま、思い出すままに、日々是好日。

嘘八百

2018年05月27日 | 政治・経済

嘘八百
江戸八百八町、大阪八百八橋、
…嘘よりも八町多い江戸の町…と川柳でも詠まれたように、昔から他愛ない嘘や優しい嘘は, 「嘘も方便」として人間社会の一つの潤滑油として存在してきた。
江戸や大阪、橋の上、着物姿の小粋な姐さんが横目で「ウソ八百…!」、「ウソばっかり…!」と笑いながら睨みつけるなどは中々色気が有って捨て難いものがあるが、社会的に地位のある紳士と思しき男が、「言っていません、わかりません、記憶にございません、文書は捨てました……と嘘八百」では全くもって様にならない。

ワシントンポストの記録によるとアメリカのトランプ大統領は就任から一年間の間に実に2140回の嘘をついたと報じている。この人物の虚言癖は前大統領オバマ氏のやったことを悉く引っ繰り返そうとするその短絡的言説や行動を見ていると劣等感の塊の変形ではないかとみられるが、時には承知での上で言っているという風でもあり極めて複雑である。
本人自身でも、嘘か本当かよくわからなくなってしまっているのではないかとも思う。
マイクに向かって何か話したと思うと全く別の事をツイートする。
これこそ手の内をすべて明かさず相手に気を揉ませる取引の名手の手法だと言っているらしいが実際にはその手法は相手にすっかり見破られていて大した成果を上げていない。

人が譲歩するのはその人が相手は最早譲歩しないと思ったからである。交渉というのは最終要求を提示した(自分はこれ以上譲歩や別の提案をすることはないと相手に信じさせた)側が勝利するというのはゲームの理論の基礎、ゲームを行っている人間なら誰しも弁えて居る。最早トランプのやり方は不動産屋の戦術そのものであることが知れ渡っている。
流石にトランプが発する嘘について行けず多くの有能な人間がトランプのもとを去った。ノーベル平和賞候補という声につられて北朝鮮との交渉も前のめりになっているが戦略不足、人材不足の状況でどうなることやら。
嘘があらぬ方向に走り出さないよう祈るばかりである。

このトランプの虚言癖が瞬く間に日本政府内に蔓延してしまった。
政府トップの首相には元々その素養があったのだろうが自己保身の為に嘘を連発しトランプの自分に都合の悪いメデイアをフェイクニュースと罵る手法まで真似て自分の正当性を主張しようとした。政治を私物化した事実を隠す為、次々新たなニュースを提供する朝日新聞を麻生と二人で根拠も示さず目の敵のように批判したのはその表れである。
安倍にとってトランプは政治家の鑑なんだろう、フェイクニュース、フェイクニュース、を連呼すれば相手は怯む、何とかなる、と踏んでいるのだろう。やるならトランプ同様徹底的に悪役になりきることだ。
信なくば立たず、一点の曇りもない、必ず全容を解明し膿を出し切る、にわか覚えの言葉を連呼しても上滑りで誰も本気にしない。国会で攻められると「印象操作」「レッテル貼り」を馬鹿の一つ覚えのように繰り返す首相だが、これこそ質問や批判をはぐらかし、相手にレッテルを貼る印象操作にほかならない。幼児性丸出し、自民党・公明党議員、山口県民よく我慢が出来るものだと思う。
恐ろしい事だがこんな首相でも権力を握れば強い。元々は安倍首相の政治の私物化を取り巻き連中が忖度し推進したのが事の発端。権力者が口で言わなくても権力者の望む通りに動く。
そんなことも察せぬ部下は無能としてお役目御免、暗黙の権力行使で議事録、録音データなどは先ず存在しない。
この様な状況下では確たる証拠が無くても、状況証拠等合理的に疑いが固まれば政治責任は成立すると考えるべきだ。そうでないと何時までたっても忖度、暗黙の権力行使による不正、政治の私的利用はなくならない。
権力者たるものこのことをよく弁え日頃から自らを律する心構えをその言動で部下に知らしめ、今回の森友、加計の案件の場合は在任中は取り上げない位の心構え、用心深さが必要である。
それにしても佐川・柳瀬という官僚トップの忖度は度が過ぎている。公文書の改竄・破棄、証拠が出ても頑なに記憶に無いと言って否定する、最早忖度の域を超え犯罪である。彼等がこのような行動をとる背景には論功行賞としての見返りを期待しての事だろう。人間の卑しさが透けて見えて痛ましい。

政権の虚言癖が行政や民間、スポーツの世界にまで波及し世界の日本に対する眼差しが変化し始めている。恐ろしい事である。

コメント
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