総選挙に思う
ひと昔前、「日本の経済は素晴らしいが、政治・政治家が駄目だ」と言われた事が有ったが、その駄目な政治家が経済だけではなく、日本全体を駄目にしてしまった。IMD=国際経営開発研究所の「世界競争力年鑑」2023年版によれば、30年前は1位だった日本の競争力総合順位は今や、64か国中35位と過去最低を更新、アジア・太平洋地域14か国でもインドネシアの後塵を拝し11位、いずれの指標も低落傾向にある。政治家が稼業化し、無能な世襲政治家が稼業を維持する為、(国家・国民)より(政党)、政党より(自分自身)を重要視するようになった結果である。
それを最も体現したのが安倍である。モリ・カケ・サクラ問題を隠蔽する為官僚の忖度や検察等の国家権力まで利用し、政権維持を図る為には統一教会・創価学会(公明党)・神社本庁の様な宗教勢力の取り込みを図る等あらゆる手段を講じた。其の為、国会、官僚組織ひいては国全体のモラルが地に落ちる結果となった。安倍のミクスの弊害を除去するには長期に亙って国民の多くに大きな痛みをもたらす事が目に見えている。
今回の総選挙、自民苦戦と報じられているが、恐らく政権交代迄期待することは出来ないだろう。只、自民党総裁に石破が選ばれた事には安堵したい。石破が就任会見で「自由」「真実」「公平公正」「謙虚」を掲げた事は、これらをないがしろにし、国家・政治を荒廃させた安倍政治との決別に繋がる。組閣に当たっては旧安倍派から一人も入閣させず党役職にも登用しなかったばかりか、安倍国葬の際、安倍を「国賊」とまで言い放った村上誠一郎を総務相(無派閥)に起用したことはその決意の表れと捉える事も出来る。
何れにしてもこの選挙で安倍が維新の会のゴミ捨て場から拾って来て育てた水田水脈や、安倍が寵愛したミニ国賊「萩生田」を党公認から外したほか、安倍派中枢を潰しに掛っている事は評価できる。後は選挙で国民が協力する事だろう。
石破は「政治への信頼回復」を掲げたがその為の具体策は示していないばかりか、政治不信の元になった、裏金事件の実態解明や、抜本的な政治資金改革に向けた提案も無い。又統一教会と自民党の関係についても頬被りである。安倍が参院選直前に統一教会幹部と面談していた写真が公になり、牧原法務大臣が統一教会と密接な関係に有った事実も明らかに成った。「納得と共感」のキャッチフレーズには程遠いが、自民党には取って代わる人材は皆無である。「口舌の徒」との批判を受けない為にも自分の考えをトーンダウンしていたのは、党内の不満分子を欺くための仮の姿、理想論の一つでも実現させて欲しいと願うばかりだ。信念を貫いて蛮勇を振るい、総理総裁の地位を棒に振ったとしても当に男子の本懐では無いだろうか。
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