先日、ブログのコメント欄にて、過去記事を読んで下さった常連の方より、「コンチネンタルのチェリー抜きに関する記事がない」との指摘を頂いた。
あれ、そうだったか?…と思い記事をチェックすると、確かにチェリー抜きの手順等の具体的な話には、これまで一切触れていなかった(「1枚掛けチェリー抜き」のキーワードは散見されたが…)。
他のコンチに関する攻略ネタ(小役狙い打法、リーチ目、CS-90ネタ、4枚掛けセット、2枚掛け延命打法、254回コキコキセット等)はすでに紹介済みだったものの、どうも、「チェリー抜き」に関する情報だけが、エアポケットの如くスッポリ抜けていたようだ。「コンチフリーク」を自認する私としても、非常に迂闊だったという他はない。今回の鋭いご指摘には、改めて感謝したい。
という訳で、往年のユニバファンなら聞き覚えのある、コンチの「チェリー抜き」。実は、この「ネタ」が雑誌等でおおっぴらになったのは、かなり「後期」の事であった。
具体的には、1993年の3月頃。コンチI登場時期が1990年11月なので、チェリー抜き発覚は登場から2年以上も後になる。攻略プロ達は、93年初頭から既に動いていたようだ。なお、同じコンチIの小役抜きでも、「3枚掛けリンゴ抜き」ネタは、さらに早い段階(1991年夏)から知られていた。
まぁ、コンチIには、登場当初から多くの攻略ネタがあり、あえて「地味」なチェリー抜きに目をつける人が、あまりいなかったのだろう。いわば、「コロンブスの卵」というところか。ただ、この時期ようやくプロがチェリー抜きに食いついたところを見ると、攻略ネタが少ない時期だったのかもしれない。
この時期のコンチIは、既に古参機種だったうえに、例の「検定取消し」問題(1991年10月)もあり、設置はガクンと減っていた。代わりにホールで活躍していたのが、コンチIの後継機「コンチネンタルII」(ユニバーサル3-2、1992年3月登場)である。件のチェリー抜きについても、コンチIというよりは、むしろコンチIIの解析・実戦の流れで編み出されたといえる。
瑞穂製作所3-1号機「コンチネンタルI」(1990年)…BRの純Aタイプ。言わずと知れた連チャン機
ユニバーサル3-2号機「コンチネンタルII」(1992年)…BRに加えてシングルボーナスを搭載
さて、ここまで「チェリー抜き」という言葉を何度も使ったが、その内容は果たしてどんなものか。
「JACK・パチスロ闇の帝王」という古いパチスロ漫画で、主人公の南井彰(みないあきら)が得意としたのも「チェリー抜き」(狙えば無限にチェリーが出続ける)だったが、あんなに現実離れした技とは違う(笑)。
「コンチIとコンチII」(以下、適宜「コンチ」と略す)のチェリー抜きは、ボーナスフラグ成立後の「等倍返し」機能を利用した、れっきとした攻略ネタである。
等倍返しとは、ボーナスフラグ成立後に目押しミスでコインをロスした場合、これを補てんする為、小役確率が大幅アップする「救済機能」である。初心者には有り難い機能だったが、攻略の糸口になる事もあり、4号機以降は禁止された。
コンチの場合、ボーナスフラグ成立後はチェリー確率が大きくアップした。しかも、3枚掛けだとチェリー出現率にバラツキが生じる(小役低確率状態と高確率状態で、出現率が異なる)のに対し、1枚掛けや2枚掛けの場合は、常に超・高確率でチェリーが出現した。
これを利用して、1枚掛け&変則押しでひたすらチェリーを狙い、ジワジワとコインを増やす事が出来た。1枚掛けで連チェリー(2枚)を取る方法を繰り返す事で、目押しさえ完璧なら消化ゲーム数と同数のコインを稼げた訳だ。
ただ、コンチIとコンチIIでは、1枚掛け時のチェリー確率に、やや差がついていた。
(ボーナスフラグ成立後、1枚掛け時のチェリー確率)
コンチI…1/1.03(約97%)、コンチII…1/1.16(約86%)
共に高確率とはいえ、コンチIはほぼ毎回チェリーが抜けるのに対し、コンチIIでは抜けないゲームも出てくる。チェリー抜きが発覚する「きっかけ」は新しいコンチIIだったが、効果がより高いのは古いコンチIの方だった訳だ。ただ、コンチIIの場合、1枚掛け時に1/23.8で10枚役(ベル、ブドウ)も抽選しており、チェリー確率の低さをカバーしていた。
それでは、コンチネンタル・チェリー抜きの具体的手順を紹介する。とりあえずは、両者の配列表をご覧頂こう。
(コンチネンタルIの配列表) (コンチネンタルIIの配列表)
両機は兄弟機の間柄で、リール配列もよく似ている。コンチIの「BAR」をコンチIIの「青7」に、「プラム」を「ブドウ」にそれぞれ置き換えると、配列はほぼ同一となる。但し、中リールの配列に若干の違いが見られる(赤7周辺の配置に注目)。
チェリー抜きには「等倍返し」が不可欠なので、「ボーナスフラグが立っている事」が最低条件。コンチIはBRのフラグが必要だが、コンチIIの場合はシングルボーナスでもOK。リーチ目等でフラグ成立を確認したら、ボーナスを揃えず手順実行に移る。
リール押し順は、「右⇒左⇒中」。手順は非常に単純で、まず右リールは7が通り過ぎてから止める。次に、左リール中段にチェリーをビタ押し。最後に、中リール中段にもチェリーをビタ押し。たったこれだけである。
変則押しをすると、チェリー成立時は全リール「ピタ押し制御」になるので(これがチェリー抜きを可能にした)、早めにチェリーを狙っても、中段にスベッてはくれない。
(図解)
(1)右リールは、誤ってボーナスが揃わないよう、7を避ける。
(2)次に、左リール中段にチェリーをビタ。ただ、これでは単チェリーで、払出しは1枚のみ。
(3)最後は中リール中段にもチェリーをビタ。連チェリーとなり2枚の払い出し。BAR上段狙いが楽。
※コンチIIの場合、中リールの7図柄の下に必ずチェリーがあり、7を基準にチェリーを狙いやすい。
このように、手順は非常にシンプルだが、問題は「ビタ押し」と「増加枚数」である。毎ゲーム、左・中リールのビタ押しが要求されるが、1枚掛けで連チェリー(2枚)を狙う為、1ゲームにつき「プラス1枚」と増加ペースが極端に遅いのだ。1回の目押しミスをカバーするのに2ゲームも掛かる訳で、かなりシンドイ技といえた。
私も、このネタが雑誌に出た当時、向ヶ丘遊園の「ニューギンザ」というホールで、コンチIのチェリー抜きを何度か実践した事がある。その時は、意外にも店員チェックが甘く、普通にチェリーを抜き続ける事が出来た。
ただ、押し順を変えて、一枚掛けで延々と一確リーチ目の「中段単チェリー」を出し続ける事で、隣や背後の客にジロジロ見られることにもなり、非常にやりづらい状況だったのを覚えている。
しかも、目押しのキツさと増加速度の遅さの「アンバランス」には、かなりイライラ感が募った。ホールでこんな「修業」をするくらいなら、禅寺にでも行った方がマシと感じ(笑)、チェリー抜きの意欲はすぐに萎えてしまった。そのうち、ニューギンザのコンチIは、新台の「チェリーバー」(ECJ)に入れ替えられた(隣の「リノ」のシマは健在だった)。
ただ、こういうネタでしっかり結果を出すのが、「攻略プロ」と呼ばれた人々である。私の手元には、当時の有名攻略会社「Cタイムス社」のスタッフが、コンチIのチェリー抜きネタで稼いだ際の「体験記」がある。その内容を、ザッと紹介したい(途中、補足部分には(註)を入れた)。
Cタイムス社の看板(JR新大久保駅近く、1991年)
・1993年2月8日(月) 池袋
実践初日なので、気合を入れて池袋のパチスロ専門店T(註:東口の「パチスロデパート・トーア151」と思われる)に行った。ここはコンチネンタル、スペースバトル、スーパーバニーガール、ペガサスEXAがあり、もちろん等価交換だ。しかも、店員が外国人なのでGOOD。
午後2時頃から打ち始めて9000円でリーチ目が出現し、タバコを2~3本吸ったロスタイム以外はひたすら打ち続けて、1時間30分ほどで下皿がいっぱいになった。
一度もボーナスを出していないのに、ドル箱にコインを入れると目立つので、すきを見て途中交換を繰り返し、10時すぎに777を揃えて帰る事にした。プラス51000円
・1993年2月9日(火) 池袋
モーニングがあるのではないかと期待して開店と同時に入ったが、客は2~3人しかおらずガックリした。
さすがに等価交換は設定が悪く、23000円もハマってしまった。300枚程増やした所でオヤジが「入ってるよ」といってきたので殴ってやろうと思ったが、ガマンしてとぼけた。すると横から手を出して7を狙い始めたが、中ドラムの7を狙えず目押しに失敗した。
もう1度チャレンジしてきてようやくレギュラーがそろい、オヤジは自慢げに「レギュラーだったからそろわなかったんだ」と言い出したので、ほめたたえてやった。
仕方なく打っているとすぐにリーチ目が入り、閉店まで気合を入れて最後にビッグチャンス。プラス34000円
・1993年2月10日(水) 池袋
さすがに3日目となると気合が抜けてきて昼過ぎにホールに到着した。ラッキーなことに2000円でリーチ目が出たので6時で止めることにした。プラス24000円
・1993年2月11日(木) 池袋
今日も2~3万円になればいいやと思いながらホールに行くと、世話焼きのオヤジがドル箱にコインを1箱半持って、我が物顔で他の客を指導していた。オヤジに気づかれないように、離れた場所で小役抜きを行っていると案の定、オヤジがやってきて手を出してきた。今回ばかりは勘弁できなかったので手をたたいてやると、悲しそうな顔をして自分の台で打ち始めた。それでも悔しそうな顔をして見ているので、店にいいつけられるのではないかと心配して、オヤジが席を離れるたびに尾行した。尾行に気づいたオヤジは身の危険を感じたらしく、すぐに帰って一安心。プラス31000円
・1993年2月12日(金) 平塚、藤沢
さすがに池袋は具合が悪いので、等価交換が多い神奈川県に行くことにした。
まずは平塚のN店(註:平塚駅北口「ニューグランド」か?)へ行き、モーニングがあるとのことで開店に並んだ。運よく2台めでモーニング台に巡り合えて小役抜きを行っていたが、モーニング狙いのガキどもが後ろで「入っている」と騒ぎだしたのでそろえてしまった。
ふたたび、リーチ目を出してチャレンジしたが、ガキの目が気になり藤沢のH店(註:藤沢駅北口「ハッピー」か?)へ移動した。
ここはコンチネンタルII、スペーススペクター、ミラクルがあり、客づきもまあまあだ。そして、ジイさんとオバさんの間の台で実践して、「よく小役が出るねぇー」というわれたが気づかれずに行えた。プラス32000円
・1993年2月13日(土) 長後、藤沢
小田急線の長後駅前の店(註:「ニューモナコ」か?)に行き実践したが、店員が見にくるので藤沢に移動した。
そして、翌日もここで実践して止めることににした。実践で感じたことは、目立つのでボケたホールを選ぶことが第一条件であろう。そして、換金率の良いホールが狙いめだ。
たまに実践するならよいが、毎日だとしんどいので年齢を感じる今日この頃である。13日=プラス42000円、14日(日)=プラス57000円
(1週間でのトータル…プラス272000円)