ミキサー（大一、ハネモノ）

今回は、少々マイナー機だが、1992年（平成4年）に大一から登場した新要件ハネモノ「ミキサー」を取り上げる。



★賞球…7＆15
★ハネ開閉時間…オトシ0.4秒、ヘソ0.4秒×2
★最高15ラウンド継続
★大当り時は、役物内に玉を1個貯留
★貯留解除…ラウンドによって2パターンあり。
・1～9R、及び13～15Rは、役物8個入賞又はハネ開閉15回目
・10～12Rは、役物7個入賞又はハネ開閉14回目
★平均出玉…約1200個



文字通り、工事用の「ミキサー車」をメイン役物に据えた、一風変わったハネモノだ。


（画像はイメージです）


そういえば、大一は旧要件時代にも、「ブルドーザーおじさんP1（P2、P3）」（1990年）や「安全大一」（1990年）という、工事現場絡みの奇抜なハネモノを出していた。


（ブルドーザーおじさんP1）


（安全大一）



一方、新要件機になって登場した本機は、従来あまり題材にされなかった「ミキサー車」がモチーフだ。



ご覧のように、センター役物は「ミキサー車の後姿」になっている。

画像では確認しづらいが、運転席には「ヒゲ面・ハチマキ姿の運転手」が乗っていて、右奥の窓から顔を出して、心配そうにコチラを見ている。なかなかコミカルなキャラだった。

荷台の上の赤い円形物がミキサーで、中心の★部分が小さな「窪み」（穴）になっている。大当り中、この窪みに玉を貯留するのが特徴だ。

（通常時）

通常時、ミキサーはお尻の★（窪み）を正面に向けた状態で止まっている。

この状態で貯留は働かず、むしろ、ミキサーは上段奥から落下した玉を左右に弾く「障害物」となる（「玉をランダムに弾く」意味では、重要な役割を果たしたが）。

小さめのハネに拾われた玉は、まず透明な上段ステージに乗った後、上段奥から下段ステージに落ちる。


（ハネはほぼ水平に開くが、サイズが小さく拾いはイマイチ）


上段ステージの中央には「突起」が付いており、上段に乗った玉の多くは、突起の影響でステージ左右に散らされてしまう。また、ステージ中央から落下した場合も、奥のミキサーにぶつかって、やはり左右に弾かれてしまう。下段ステージの中央を直進するケースは少ない。

Vゾーンは下段の手前中央にある為、こうした玉の動きだと、V入賞は一見困難に思える。
だが実際は、ミキサーに弾かれた玉が左右の壁にクッションして、うまく中央に戻るパターンもあった。

さらに、役物内の左右の壁には、白い小さな「可動ハネ」が付いていて、チャッカー入賞時にパタパタと動く。この可動ハネが、上段左右から落下した玉にタイミング良く当たると、玉の方向が変わって、中央Vに向かう場合があったのだ。

まぁ、タイミングや運任せの部分は多いものの、役物入賞した全ての玉にＶ入賞のチャンスがあった訳で、最後まで目を離せなかった。


（大当り中）

大当り中は、役物1カウント後（orハネ5回開閉時）に、ミキサーのお尻がグイと持ち上がる。それまで正面を向いていた★部分も（斜め）上向きになり、窪みへの「1個貯留」が可能になる。

但し、貯留の可能性があるのは、上段ステージの中央奥から落下した玉のみ。上段で左右にバラけた玉は、貯留されずにミキサーの両脇に落下する事になる。


（ミキサーの★部分に、玉が1個貯留された状態）


※当時の個人的な印象だが、「普段は横倒し状態の受け皿が、大当り中ムクリと起き上がって貯留を始める」という一連のアクションは、平和の旧要件機「たぬき丼」（1990年）のドンブリの動きを彷彿とさせた（もちろん、貯留個数は大きく異なるが）。



（大当り中、貯留解除の瞬間）

その後、ミキサーは再び手前に傾き、貯留は解除となる。この時、貯留玉は真っ直ぐ手前に直進して、高確率で手前のＶゾーンに入る。

最初にも書いた通り、貯留解除タイミングは、ラウンドによって異なる。1～9Ｒと13～15Ｒは「役物8個入賞orハネ15回開閉時」、10～12Rは「役物7個入賞orハネ14回開閉時」。

いずれにしても、1ラウンドあたりの出玉は多めで、完走時は約1200～1400個程度が期待できた。

但し、貯留があれば継続し易い反面、時には貯留自体が難しく、早いラウンドでパンクする事もあった。

単純に寄りが悪かったり、短いハネで空振りが多発したり、或いは、元々上段ステージの突起で左右に振られ易く、ミキサーに貯留されにくいという、構造上の不利が影響した為だ。

なお、パンクの回避手段として、貯留解除時の止め打ちで玉突きを防ぐ方法があった。
また、ミキサーが1カウントで上向き動作を始める為、1カウントしたら打ち出しを停止して、★部分が上向き動作を終えて確実に貯留可能になった後、打ち出しを再開するという地味だが効果的な方法もあった。




★当時の実戦店…新宿・歌舞伎町「日拓IV」

（c）Google
当時、「日拓IV」があった歌舞伎町の四つ角（現在は「スロットエスパス日拓歌舞伎町店）

’92年の秋頃、1Fの隅に5～6台ひっそり設置されていた（撤去も早かったと記憶する）。

なお、その他の主な設置機種は、以下の通り。
・ハネモノ…カバ丸くんP3（西陣）
・デジパチ…パーラーキング（西陣）、花鳥風月（西陣）、ムーンライト2（大一）、セーフティセブン（マルホン）、GPチャンピオン（平和）など。
・権利物（アレパチ、一般電役含む）…アメリカンドリームP1（豊丸）、エキサイト（藤商事）、フルーツパンチ（大一）、ダイナマイト（大一）、アレパッチンDX（太陽電子）など。

あらためて振り返ると、非常に香ばしいラインナップだった。

一方、地下パチスロフロアには、スーパーセブン（パイオニア2-1）、スーパーバニーガール（オリンピア2-2）、コンチネンタルIII（メーシー3-1）、アラジンII（サミー3-1）、アポロン（北電子3-2）が設置されていた。特によく打ったのが、アポロン（5連）とスーパーセブンだ。



★本機の兄弟機…ミキサー2、ミキサーZ（ともに1992年登場）
（盤面デザインやセンター役物などは共通だが、賞球・電チューの有無・貯留解除タイミングなどが異なる）


ミキサー2…賞球は本機と同じ「7＆15」だが、コチラは、センター2チャッカーが大一お得意の「電チュー」になっていた。左右の肩チャッカー通過で、天下の2桁7セグデジタルが始動。「33」「77」が出ると、センターの電チュー式2チャッカーが3.7秒開放する（センター入賞でハネが2回開放）。大当り中の貯留解除タイミングは、全ラウンドを通じて「5カウント又はハネ開閉13回目」で、平均出玉は約800個。




ミキサーZ…賞球は「6＆10」と、本機よりも控えめ。ハネ開閉時間は、本機や「2」よりもわずかだが長い。電チューは本機と同じく非搭載。大当り中の貯留解除タイミングは、全ラウンドを通じて「6カウント又はハネ開放13回目」。平均出玉も約500個と少ない。