三洋「ファンシーII」
(1990年登場、旧要件ハネモノ)
★賞球7&13、最高8ラウンド継続
★兄弟機に「ファンシー」(賞球オール13)
★新要件の後継機「ニューファンシー」(賞球7&13)
★同社の旧要件ハネモノ「スタジアム」(1987年)を意識した作り。ダイヤル型の水平回転盤がクルクル回るのが特徴。西陣の「マッハシュート」なども同タイプの回転盤を使用しており、当時流行りのヤクモノといえる。
反時計回りの回転盤には10個の穴があり、その内一つがVゾーン。大当り中はハズレ穴に玉が貯留されるが、V手前の穴はスルー式の為、貯留されない。また、Vの二つ手前の穴には金属のフタが付いている。したがって、大当り中ヤクモノに貯留される玉は、最大で7個。
★「スタジアム」との違い
(画像は殿堂蕨店で撮影。)
スタジアムの場合、大当り中の止打ちで、V継続率をアップさせることが出来た。つまり、大当り中、ヤクモノ入賞した玉がV穴に入り易い、ハネ開放のタイミングがあったのだ。
1ラウンド中に18回ハネが開く間で、1,3,5,8,10,12,14,16回目のハネ開放時にヤクモノ入賞すると、V入賞のチャンスがあった。特にV穴に入り易かったのが、1回目、3回目、5回目、12回目である。
この特性を利用して、1回目のハネ開放時はストップボタンで玉を拾わせない(出玉減を防ぐ)。2回目のハネ開放から打ち出しを開始して、3,5回目のハネ開放でのV入賞を狙う(最初のチャンスタイム)。
もし、ここでV入賞しなかった場合、一旦打ち出しをストップして、12回目のハネ開放時に玉を拾うように打ち出しを調整する(2回目のチャンスタイム)。
スタジアムでは、上記の止打ち攻略で大幅にV継続率がアップした。しかし、ファンシーの場合、V入賞し易いタイミングは、1回目のハネ開放時のみに限られる。この時に拾われた玉は、5割近くの確率でV入賞するが、必然的に出玉は減る。1回目のハネ開放以外では、玉がイレギュラーに動いたり、複数個の玉が入賞したりしないと、V継続は難しい。これが、スタジアム同様の技術介入性を期待したファンにとって、大きな失望を誘った。
但し、悪い事ばかりではなく、ファンシーにはスタジアムより優れている点もあった。それが、初回V獲得率の高さ(初当りの良さ)である。
スタジアムの回転盤には、金属球が詰められた穴が1つだけある。ただ、この穴はVの4つ手前に配置されており、初回のV入賞にさほど影響しない。
一方、ファンシーの回転盤も、一箇所だけ金属の詰め物でフタがされていた。ただ、スタジアムのような球形ではなく、傾斜のついた金属板になっていた。
さらに、この金属板の穴はVの二つ手前にあった為、ヤクモノに入賞した玉が金属板に跳ね返ってからV穴に入る、という変則的なV入賞パターンが生まれたのだ。継続率の悪さを、初回V入賞の良さでカバーしようという意図が見える。
元祖スタジアムの奥深さには及ばないとはいえ、こうしたファンシー開発陣の設計努力は、評価されて良いのではないか。