1996年(平成8年)登場の変則2回権利物「大金星」(奥村)
本機は、デジタル当選⇒回転体振り分け⇒ラウンド振り分け、という3つの関門があった。デジタルには「大当り」と「小当り」があり、チャンスの少ない小当りからでも権利獲得の可能性があった。機種名の「大金星」も、「圧倒的不利からの逆転V」」という、本機のゲーム性を暗示している。反対に、デジタル大当り時に権利を逃す不運なケースもあり、ホール側に「金星」を献上する事もあった。2回権利だがラウンド振り分けがあり、打ち手のヒキ次第で出玉に差が付いた。
(基本スペック及びゲーム性)
★賞球:7&15
★二桁ドットデジタル採用
★図柄:0~9、軍配、J、Q、K、力士(15種類)
★盤面左下の「START」チャッカー(スルー)通過で、中央ヤクモノ下のメインデジタルが回転。
★デジタル大当り:「33」or「77」
★デジタル小当り:「軍配」or「力士」のゾロ目
★デジタル大当り時は、ヤクモノ左のハネが1.1秒×5回開放
★デジタル小当り時は、ヤクモノ左のハネが1.1秒×1回開放
★ヤクモノ内の玉が、回転体(穴は6つ)のV穴に入れば権利獲得
★V入賞後、盤面左の小デジタル(7セグ)が停止(通常時、小デジは常に回転している。)
★小デジに奇数で16ラウンド継続、偶数なら8ラウンド継続(振り分け率1/2)
★デジタル当選率:1/101(2回目の権利獲得時は1/10.1にアップ)
★回転体振り分け率:1/2.2(メーカー発表値、大当り、小当りトータルでの振り分け率)
※ネカセ・クセによる個体差あり
★デジタルとヤクモノを加味したトータルの大当り確率:1/220(メーカー発表値)
※個体差あり
★権利消化時は右打ち。盤面右の回転体と右下アタッカーの連動で、出玉を稼ぐ。
★2回権利で出玉は2300~4600個(ラウンド振り分けで変化)
⇒16R・16Rなら4600個、どちらか一方が8Rなら3500個、8R・8Rなら2300個とバラつく。
★リーチアクション⇒ノーマル、カウントダウン、戻り、高速の4種類
・ノーマル(0.7%)…右デジが通常スクロール。ハズレが圧倒的に多いが、稀に当る。
・カウントダウン(7.5%)…ノーマル停止後、右デジが高速⇒停止を繰り返し1コマづつ進み当りに接近。
・戻り(58.3%)…ノーマル停止後、右デジが高速⇒停止を繰り返し1コマづつ手前に戻る。高信頼度。
・高速(22.7%)…左デジのドットがカラフルに変化して、右デジが高速回転後いきなり停止。
※カッコ内はリーチ信頼度
★兄弟機…大金星2(1996年)…3回権利、賞球:7&15
・ヤクモノやデジタル確率は本機と同じだが、デジタル大当りは「77」のみ。「33」「軍配」「力士」は小当り扱いとなる。トータルの大当り確率は約1/350と低い。ラウンド振り分けはなく、全て16ラウンド固定。3回権利の出玉は約6000個。
(個性的な「力士」ヤクモノ)
ヤクモノ内のユニークな力士キャラ。よく見ると、ホンジャマカの石ちゃんにも見える(?)。石ちゃんといえば、「パチンコ・グラフィティ」(1992年、布川敏和)の不良店員や、「パチプロ浪花梁山泊」シリーズ(1996年~、渡辺裕之)のBOOちゃんなど、90年代パチンコVシネマでも活躍した。
※力士の上部には、軍配に挟まれた「蒙御免」の文字がある。これは、相撲の番付表などに書かれた「御免こうむる」という古い言葉で、江戸時代の勧進相撲における幕府の「興業許可」の名残である。大相撲の興業前、この文字が書かれた「御免札」を関係各所に配ったり場所前に飾ったりする慣習がある。
さて、この力士ヤクモノ、実は本機がオリジナルではなく、過去に奥村が出した旧要件ハネモノ「関取くん」のヤクモノキャラを、「再利用」しているのだ。
・奥村「関取くん」(1988年登場の旧要件ハネモノ。最高8ラウンド継続)
「関取くん」のヤクモノ内部。両手を突きだした力士のポーズも同じ。「大金星」でヤクモノ内の玉を張り手で押し出す動作も、この「関取くん」から継承している。ただ、コチラは6つ穴回転体ではなく、下段が土俵を模したステージ(回転型)になっている。V入賞率は辛め。
コチラは本機(大金星)のヤクモノ。大当りまたは小当り時、ハネに拾われた全ての玉は、力士手前のステージ上に、一旦貯留される。当然、ハネが5回開くデジタル大当り時は、多くの玉(最大5個)が貯留される為、V穴に入る可能性も高くなる。
貯留解除時は、力士の「突っ張り」で、玉を景気よく手前に押し出す。押し出された玉は、下段の回転体へと送られる。6つ穴のうち1つがV穴となっており、玉がVに入れば権利獲得となる。
小当り時は貯留1個のみだが、タイミングさえ合えば回転体のV穴に入る。まさに「大金星」の瞬間である。逆に、5個貯留ならほぼ当りそうな感じもするが、回転体のスピードが早く、Vを蹴られる事もあって、最後まで気を抜けない。
基本的に、ヤクモノ左のゲージ構成は甘く、ハネ開放時間も1.1秒あるので、玉は拾い易い。但し、寄りの悪い台ではハネが「空振り」する事もあり、貯留が減ってV入賞率はガクンと落ちる。デジタルや回転体など運の要素は強いが、釘を見る力も要求された。デジタル始動チャッカー付近(左ハカマや命釘)のチェックも重要となる。
なお、このヤクモノの特性を利用して、朝一、あらかじめ力士の前に玉を数個貯留しておく「モーニングサービス」を行う店もあった。これにより、デジタル小当りでも権利獲得のチャンスが飛躍的に倍増し、大当りなら確実に権利獲得となった。