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一番星(平和、権利物)

2015-11-07 19:24:45 | 権利モノ



1992年(平成4年)に平和から登場した、一発タイプの権利物「一番星」

★新要件機(16ラウンド)
★賞球…7&15
★2回権利
★平均出玉…4300個
★当時の実戦店…高田馬場「日拓EO」、新宿「ジャンボ」、向ヶ丘遊園「銀座ホール」など



平成2年(1990年)10月の規則改正で、いったん開いた大当りチューリップの閉鎖を釘曲げで防ぎ、右打ちで出玉が増える「一発台」の仕様は、明確に禁止される事となった。
(従前は、「厳密には違法だが、黙認」という状況だった)

この改正を受けて、翌91年から一発台の撤去が進み、ジェットライン、ジャスティ、ベータ、スターライト、ターゲット、フェアリー、キャンプ、メガトロンといった香ばしい一発台は、次第に姿を消していく。そして、92年春の段階では、都内の大半のホールが一発台をが外した。

「一発決まれば大当り」のシンプルなゲーム性と大量出玉を好むフリークにとっては、こうした撤去の流れは納得し難く、かつ辛いものであった。

そんな喪失感を埋めるべく、新要件初期に多く出た、4000発仕様のデジタル2回権利物を打ったりしたが、「デジパチの延長線」ともいえるゲーム性は、生粋の一発台ファンの心を掴むには至らなかった。


そんな一発フリークの声に応えるように、91年中盤から92年前半にかけて、デジタルではなく、ヤクモノのV穴に飛び込んで権利発生となる、アナログな権利物や一般電役が登場。

大一「アニバーサリーI(II)」、三洋「ダウンタウンV」、三共「メドレーI」といった辺りである。

チャッカー入賞→デジタル回転→ゾロ目揃い→権利穴入賞でやっと大当りする複雑な手順と違い、狭い命釘をスルリと抜けた玉が、V穴に飛びこめば権利が発生する。

そんな「ポスト一発台」的なゲーム性は、数多くのファンから支持を集める事となった。

特に、新装や新規など、甘釘が予想される時は、短時間で大量出玉が望めるポスト一発台が重宝した。


今回紹介する平和の「一番星」も、その流れの中で92年初頭に登場した、「一発タイプ」の2回権利物である。




(ゲーム性)



天左横、コンビゲージの命釘Aを抜けた玉は、ゲージ内部を伝って命釘Bにアプローチする。

但し、この部分の調整は様々で、AはユルユルでもBの両脇にこぼれ易かったり、Aは狭いが抜ければ確実にBに入ったりと、店や台によって多くのバリエーションがあった。

なお、右サイドからの入賞ルートもあったが、私の知る限り、右の命釘を潰すホールが大半で、左からの抜けを期待する他はなかった。




通常のストロークは、①ブッコミ狙い、②ブッコミ弱め、③山・谷釘間を狙うコースの、計3種類に大別される。

白円で囲った4本クギ(命釘と誘導釘)の調整は勿論のこと、釘の形に合わせて、命釘を抜け易いストロークを発見するのも「技」といえた。さらに、ストロークの安定性を左右する、「バネ」の状態もポイントだった。





命釘Bを抜けた玉は、真下にある垂直回転体(時計回り、周期は約2秒)に向かう。

回転体の外周にはピン(突起)が6本付いており、中心には3枚のプラスチック板をYの字に合わせた「仕切り板」があった。この独特の構造が、玉の動きをいっそうランダムにした。

回転体内部を通って落下した玉は、真下の振り分け穴「C、D、E」の何れかに入る。

中央のDに入ればOKで、左右のC、Eはハズレだ。構造上、右のハズレ穴に入り易い。

こうした「上部回転体+下段三つ穴」の構造は、三星の一発台「セイヤ」を彷彿とさせた(セイヤはクルーン+風車+三つ穴)。




回転体外周に配された6本のピンをよく見ると、中心からの距離が一律ではなく、一本おきに、中心から遠い位置と、僅かに中心に近い位置の2パターンに分かれた。こういった不規則な配置も、玉の挙動に少なからず影響を与えた。





三つ穴の振り分け率は、見た目1/3だが、実際は台毎にバラついた。1/3に近い確率でセンターに入ってくれる台もあれば、20発連続でハズれるような「鬼台」もあった。平均「1/5」などと言われたりしたが、ハッキリ言ってアテになる数字ではなかった。この辺りも、セイヤのような一発台と見事に共通する。


この振り分け率の違いを生み出したのが、回転体周りの釘調整と、回転体の「クセ」であった。
(さらに、ネカセも影響した)

まず、釘については、回転体上部を囲む、左右ヨロイ釘(逆ハカマ)の右サイド6本。

特に、上画像で示した「X」(上2本)と「Y」(下2本)がポイントとなる。

例えば、Xの2本を内向きにするとハズレ穴に入り易く、外に振るとセンター穴に来やすい。

さらに、Yが極端に内向き調整だと、露骨に左右にハズレまくる「極悪台」と化す。

では、なぜ、これらの釘調整を変えると、振り分け率が大きく変わったのか。

実は、回転体を通る玉が、時計周りの遠心力でいったん右に流れた後、上画像の「Z」で示した小さな白い突起の上に乗ると、その反動でセンター穴に入り易くなっていた。

XやYが外向きやノーマル調整なら問題はないが、内向きに叩いた途端、Zに乗りにくくなって、ハズレが連発したという訳だ。


さらに重要なのが、回転体そのものの「クセ」である。

回転体は、台によって「ガッチリ取り付けられたもの」と、「取り付けのユルいもの」に分かれた。

もちろん、経年劣化も絡むのだが、回転体の取り付けがグラグラして緩いと、センター穴に入る確率もアップした。

命釘の抜けが甘く、さらに回転体のグラツキも大きければ、まさに「お宝台」となったのだ。


  

三つ穴のセンターに入ると、下の2回開きチューリップ(左)が開く。

さらに、チューリップに1個入賞させると、そのまま下の権利ヤクモノ(右)に入り、ほぼ確実にセンターV穴に入賞、権利発生となる。
(Vの両脇下2穴はハズレだが、滅多に入らない)

但し、チューリップは「2回開き」の為、立て続けに2個入るとチューリップが閉じて、下のV穴にも連続入賞して「パンク」してしまう

よって、チューリップ開放後は、慎重に単発で打ち出して、確実に1個入賞させる必要アリ。

なお、V穴への入賞は「ほぼ100%」と書いたが、ごく稀にセンターからこぼれて、左右穴に外れてしまう、まさかの「事故」が起きた。この場合、補償がないと、1回分の権利がフイになる。
(非常にレアなケースだったが)





    

権利獲得後は、右打ちで消化。右上の回転体(左画像)と、下部の電チュー式アタッカー(右画像)の連動で、出玉を稼ぐ。16ラウンド継続で、出玉は約2200個。



1回目の権利を消化したら、通常のストロークに戻して、開いたままの2回開きチューリップに玉を入れて、下段V穴への入賞で、2回目の権利がスタート。ここでの権利獲得は容易。

また、この時は1回目と違い、チューリップを単発打ちで狙う必要もない。むしろ、連続入賞なら「ダブル」となるので、連続打ちの方が良い。ただ、私自身は本機でダブった経験は一度も無い
(元々、ダブルになり辛い構造)。

2回権利の消化で、約4300個の出玉が望める。2.5円交換なら10750円、2.2円だと9500円弱。これとて、一介のバイト学生だった私には、かなりの「大金」であった。これを、新装時に4回、5回と当てた時の興奮は、一発タイプならではのものがあった。

まぁ、根っからの貧乏性なので、これだけ勝っても、夕飯のラーメンが「ネギチャーシューメン大盛+餃子」になる程度だったが…(汗)。





(ラッキーナンバー狙い)



本機の権利獲得プロセスに、「デジタル」は直接絡まない。だが、盤面左右下には、小さな1桁ドットデジタルが付いていた。

右下のドットは大当りラウンド表示用。一方、左下は「ラッキーナンバー用デジタル」だ。
(朝イチから初当りまでは、「イチバンボシ」とメッセージが流れた)

自分が本機を打った店は、大半が「2回権利終了後、出玉交換」のルールだったので、ラッキーナンバー(LN)を狙う機会は、ほとんどなかった。

だが、地域やホールによっては、このデジタルを活用して、「3,7で無制限、その他は交換」のような営業を行う事もあったから、LN狙いに触れない訳には行かない。

当時は、まだ等価交換が主流ではなく(最近、都内で等価が禁止されたようだが)、2.5円、2.3円、2.2円などの「換金ギャップ」が当たり前だった。その為、LN制のホールやシマでは、LNで当るかどうかが、収支の上で大きく影響した。

本機の場合、LN用デジタルの停止タイミングを、意図的に狙う事ができた。以下、その手順を概説する。


LNデジタルは、権利発生用V穴(2回開きチューリップ下)に入った瞬間、変動を開始する。
(横スクロール、右→左に平行移動。デジタルは「0~9」の計10通り)

一方、このデジタルが停止するのは、右上回転体の内部センサーが、玉を感知した瞬間だ。

即ち、回転体に乗った玉が中に取り込まれ、センサーを通過してアタッカーが開いた瞬間に、デジタルは停止する。

このデジタルと回転体の周期には、明確な「連動性」があった。

具体的には、回転体が1周すると、デジタルは「3周プラス0.7コマ」進む。

まぁ、「3周」はどうでもよくて、大事なのは、回転体1周毎に、出目が「0.7コマ」進む点だ。

例えば、回転体の入口が真上に来た瞬間の出目が「7」だったら、次に真上に戻ってくる時は、「8」の少し手前を通過する。

この関係に着目して、1R開始直前、右打ちで回転体に玉を乗せるタイミングを計れば、好きな出目を出す事が出来たのだ。

但し、回転体に乗った玉が中に取り込まれてから、センサーに反応する(アタッカーが開く)までには、僅かな「タイムラグ」があった。このラグの間に、デジタルは「2コマ弱」進む。LN狙いでは、こうしたラグも考慮に入れる必要があった。


以上の特性を利用して、権利発生後は打ち出しをいったん停止。右上の回転体と、左下のデジタルを同時に睨みながら、回転体の入口が真上に来た瞬間の出目を把握する。

その時の出目が、LNに指定された数字の「2.5コマ手前」(例:LN「7」→「4と5の間」)だったら、すかさず打ち出しを再開して、回転体の入口が一周する前に玉を乗せておく。

逆に、ノーチャンスのタイミングなら、「2.5コマ手前」の出目が通過する機会を、粘り強く待つ。
(但し、一度チャンスを逃すと、待ち時間は長くなる)

うまく回転体に玉が乗っかれば、入口が真上に戻って来た時の出目は、「4」と「5」の間から0.7コマ先の位置、つまり「5」のチョイ先になる。

さらに、回転体内部に取り込まれた玉がセンサーに触れた瞬間、「5」のチョイ先から「2コマ弱」進んだ出目、即ち、「7」で止まる訳だ。

当然、LNが「3,5,7」など複数あれば、チャンスとなるタイミングも、それだけ増える。


こうしてLNを自在に出せば、LN制は「無制限営業」と同じとなり、実戦でも非常に有利になった訳だ。以上が、本機における「LN狙い」の概要である。