背寒日誌

2024年10月末より再開。日々感じたこと、観たこと、聴いたもの、読んだことなどについて気ままに書いていきます。

「恋愛専科」のスザンヌ・プレシェット

2005年09月23日 09時18分54秒 | アメリカ映画
 先日テレビで「恋愛専科」を放映するというので、楽しみにしていたのだが、見逃してしまった。この映画、ずっと前に見たことがあるが、またいつ見ることができるのだろうかと思うと、残念でならない。他愛のないアメリカの恋愛映画なのだが、バックに流れるカンツォーネ「アルディラ」の情熱的なメロディーと共に、妙に印象に残っている映画だった。原題は、"Rome Adventure"(ローマの冒険)で、イタリアにやって来たアメリカ人の若い男女のラブ・ストーリー。イタリアが舞台の恋愛映画と言えば、「ローマの休日」と「旅情」が有名で、特に後者はキャサリン・ヘップバーンの名作だった。「恋愛専科」は、この二作とは内容的には比べものにならないが、青春映画としてういういしさがあり、良く出来ていたように思う。
 ヒロイン役は、スザンヌ・プレシェット。当時エリザベス・テーラーの再来と言われた新進の美人女優だ。黒髪でやや地味だが、清楚な可愛らしさがあり、小柄で日本人好み。しかも意外にグラマーで、ヒップ(骨盤)も大きく多産型の女性のように思えた。この映画で彼女はプルーデンス(慎重)という名前の控えめな女の子を演じている。女子大を卒業後、イタリアへ恋人探しの旅に出たものの、なかなか自分の殻から抜け出せず、書店でアルバイトをしている。しかし、そこは恋の街ローマ。イタリア人の中年男に言い寄られ、恋の手ほどきを受けたりしながら、次第に同じ下宿に住むアメリカ人の若い画学生に惹かれていく。彼には色っぽい恋人がいたのだが、すったもんだの挙句、彼女の恋は目出度く成就する。この画学生を演じるのが、金髪緑眼長身の美男子俳優、当時人気絶頂のトロイ・ドナヒューだった。今でも覚えているのは、野原でのデートのとき、猫じゃらしのような草でドナヒューがプレシェットの鼻とか脇の下とか、つまり性感帯をくすぐるシーン。
 さて、この映画には余談がある。主演の二人が現実に電撃結婚してしまったのだ。そしてなんと数ヵ月後に離婚。その後、二人とも映画スターとしても落ち目なり、スザンヌ・プレシェットは、大女優エリザベス・テーラーの足元にも及ばぬまま、終わってしまう。
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「ウェストサイド物語」の思い出

2005年09月20日 20時52分58秒 | アメリカ映画
 映画監督のロバート・ワイズが亡くなった。91歳だった。ワイズと言えば、「ウェストサイド物語」と「サウンド・オブ・ミュージック」。どちらもミュージカル映画の記念碑的傑作で、最も多くの人々が見て感動した映画だった。もちろん私もその一人だった。「サウンド・オブ・ミュージック」は私が中学1年のとき封切られ、友達と一緒に横浜の映画館で見た。「ウェストサイド物語」は封切りのときではなく、高校2年の夏にリバイバル上映されたとき、日比谷の映画館で一人で見た。二本とも思い出深い映画だが、やはり私は「ウェストサイド」を初めて見たときの感動の大きさを今でも忘れない。
 もう36年も前のことだ。ちょうど青春の真っ只中で、見た時期も良かったと思う。この夏は「ウェストサイド」に振り回された夏だった。私は日比谷の映画館でこの映画を3度も見た。3度とも一人ぼっちで……。金のない高校生の頃、財布をはたいてこんなに入れ込んだ映画は他にない。レコードも買い、「トゥナイト」「マリア」「クール」「アメリカ」など、バーンスタインの名曲を繰り返し聴いた。なかでも「マリア」は心に滲み、英語の歌詞を覚えて自分でも歌っていた。物干し台に出て、月を見ながら歌っていたのだがら、狂っている。原作のシェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」も読んだ。そして、若い男女の純愛に憧れた。その頃、片思いだったが、私には同級生にものすごく好きな女の子がいた。実は夏休みで彼女に会えないさびしさを「ウェストサイド」でまぎらしていたのだ。オレも彼女とあんな恋がしてみたい。マリア役のナタリー・ウッドと、恋する彼女が一つに合わさった。彼女への私の思いは、マリアに恋焦がれるトニーの心境と重なった。
 映画「ウェストサイド物語」のすばらしさは、私の個人的思い入れは別として、その恋愛ストーリーにあるのではない。ミュージカルの醍醐味を大画面を使って思う存分に表現したことにある。もっと具体的に言えば、青春のエネルギーと熱気をあふれんばかりに伝え、賛美したことにある。監督ワイズの演出もすごいが、なんと言ってもジェローム・ロビンスの振り付けがすばらしかった。主演の二人はそこそこだが、共演者のリタ・モレノ、ジョージ・チャキリス、ラス・タンブリンの踊りは、迫力満点!画面から汗が飛んで来そうだった。とくにリタ・モレノが「アメリカ」を歌い踊るシーンは、熟れた女の臭いがむんむんして、その色気にノック・ダウンされた強烈な印象が残っている。
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