ありし世を確かに生きた人々の魂に会う盂蘭盆の夏
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私の家では盆の見送りの明かりを「門灯篭(かどとうろう)」と呼び、20日まで軒先に灯すのがならわしだ。
地域や宗旨によって、この灯篭をするところ、しないところ、期間がなどがさまざまのようだ。
私が一緒に暮らしていた祖母は明治の半ばの生まれで、父は大正末年生まれだったので、今となっては廃れつつある季節の行事や風習を守っているところがあった。
したがって、その影響下にある私も、「それをそのようにしなければ気が済まない」という刷り込みをいくらか保っている。
私の現在の生活圏である佐賀県嬉野でも、お盆には日が暮れると家の軒先に家紋入りの提灯を提げる家がある。盆に帰って来る先祖が道に迷わないようにとのいわれがあるならわしだ。
地方によってまちまちだろうが、故郷の五島福江では「二十日盂蘭盆」と言って、盆過ぎの八月二十日まで門燈篭を出した。これは、霊山浄土へ帰っていく先祖の進む道を照らすとのいわれがあるとのこと。なんとも優しい心遣いが反映した風習である。