私の故郷の長崎県五島市の福江では、独特のお盆の習慣があって、お盆の期間の8月13日から15日まで、毎夜夕暮れから暗くなるまでの数時間、各家の先祖の墓のまわりを家紋入りの提灯で照らす習慣があり、家族や親類、知人が相互に訪ねあって線香を手向けあい、挨拶をする習慣がある。
おそらく、お盆は先祖の霊が自宅に帰ってくるという考えから、帰ってきた先祖や亡くなった身近な人と一緒に時を過ごすという行事だと思う。
子供たちは、もっぱら花火遊びに夢中となる好機で、さまざまな花火で賑やかに遊ぶのが、墓、仏事という、ちょっと悲しいイメージのある行事を晴れやかにしてくれて、今年も無事に厳しい夏を乗り切れるぞ、といった活気のあるものにしてくれる。
このように、お盆に墓に提灯を灯す習慣は、長崎県では広く行われているようで、地域によって三日間するところ、一日だけするところ、初盆のところだけなどと違いがあるようだ。
また、提灯はお墓ばかりでなく、迎え火と送り火として「かどどうろう(門灯篭)」と呼んで家の軒先等に一灯点す。
また、もう廃れていっているが、門灯篭の終了の日は二十日で、二十日盂蘭盆と呼んでいた。