家近良樹 著 西郷隆盛とその周辺の人たちの原文の書簡資料などが多く、かなり読むのに骨が折れる著作だが、これまでと違った視点で維新史を理解することができる。 特筆すべきは西郷隆盛の健康状態の記録だ。 度重なる心身の重いストレスからと考えられる体調不良は、征韓論争および明治六年政変の背景に重大な影を落としている様子が伺える。 臨場感があり、大久保一蔵の鼻息や西郷吉之助のうなり声が聞こえてきそうな本だった。