のほほん書斎(日高茂和)

感想にかえて・・・毛利敏彦著「大久保利通~維新前夜の群像~」より

先日再読した、件名の書籍より、大久保利通の人物像について著者がふれた部分を
摘録します。
感ずるところがあった部分です。


1~2ページの まえがき より

「通常いだかれているお久保のイメージは、冷徹な官僚政治家であり、彼の人気は
あまり高くない。
私もそう感じていた。ところが、書き進むうちに、通説とは違った大久保像に気づいた。
そして、熟慮断行、目標に向かっておそろしいほどの集中力、持続力をしめす。
彼の権力意志は、強烈な自負心と責任感にうらづけられ、職責を回避せず、すすんで
難局に当たり、目的のためには死をもおそれない。
彼は、強いリーダーシップを発揮する反面、組織の維持に細心、慎重であり、組織の
生命は人間とみて、人材登用に熱心であり人事も概して公平である。
そして、私生活はおおむね清潔で、地位を利用して私腹を肥やすことなど、まずなかった。
現代日本には、体制側、反体制側とも、大久保と正反対の政治家が多すぎる。
それは、われわれの不幸である。」

161~162ページの 明治国家の形成 より

※明治2年7月
「彼は、参議就任の日に、不動の根本方針樹立をもとめて、一、大目的を定む、二、政一本に出ず、三、機事密を要す、の三箇条の意見書を提出した。八月十日、この意見書をほとんど取り入れた盟約書に、三条、岩倉、徳大寺、大久保、広沢、副島の六名が署名した。それは、「公明正大活眼を以て宇宙の間に注視し、全国の力をあわせて皇威を宣揚し、国権を拡張する」のを政府の「大目的とし、そのために、三職(大臣・納言・参議)は、政策について「忌憚なく心腹を吐露し反復討論して之を決定」、たとえ自己の意見と違ってもいったん決まったことは厳守し、他人に責任を転嫁しないこと、言路洞開は必要だが機密を守るべきこと、そして、「三職の輩は、毎月三四度或は五六度各自の宅に相往来参会し、情を通じ親を結び、一点の隔心なく相交わりて奉公の便を計る可き事」の誓約であった。

この中の、

「三職の輩は、毎月三四度或は五六度各自の宅に相往来参会し、情を通じ親を結び、一点の隔心なく相交わりて奉公の便を計る可き事」の誓約。

が面白い。

私は、従業員100人程度の家族的な企業で仕事をしている。
役員間ではけっこう侃々諤々に近い議論もするのだが、仲良く争い、争いながらもまた、よりよい方向を目指して心をひとつにするために、飲む機会も含めて、よくよく話をすることに努めようと
思わされた一文だった。

道に迷うよなことがあれば、再読したい評伝である。
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