
渡米して50年以上になり、アメリカを活動の拠点にして、世界中で演奏なさっている穐吉さんが長崎で演奏されるのは数十年ぶりというたいへん貴重な機会を得た。
選曲が練り上げられており、長きにわたる穐吉さんの偉業をダイジェストで楽しめるよう、数多くのアルバムのなかから一曲ずつピックアップされていて、穐吉さんの人生の絵巻物をひもといて眺めていくようなコンサートとなった。
公害問題が深刻だった時期に、「ミナマタ」組曲などで社会問題を音楽で訴えるなど、社会性のある活動もされてきた穐吉さんは、近年、平和をテーマにした活動に力をを入れられている。
驚いたのが、地方の公演ならではだと思うが、アルバムへのサイン会のサービスがあり、記念にサインをしていただいた。
穐吉さんの近年の思いが詰まっている「ヒロシマ ー そして終焉より」というタイトルのアルバムに感想と賛辞を述べてサインを求めると、「これはとても大切なアルバムですから」と言葉をかけていただいた。
高校生の時に、すでに他界された山村先生に教えてもらって聞くようになった穐吉さんに、言葉をいただくことがあるとは夢にも思っていなかっただけに、とても嬉しかった。
このコンサートのあった長崎ブリックホール付近には、かつて三菱製鋼所があり、原爆で1400名余が命を落とされた場所である。
演奏が鎮魂の響きにも聞こえてきた。
コンサートのしめくくりには、「ヒロシマ ー そして終焉より」の組曲のなかから、「希望」という曲を演奏された。
この組曲は、アルバムでは43分の演奏時間で三つの楽章からなる。
それぞれの楽章のタイトルは、第一楽章「無益な悲劇」第二楽章「生存者の語り」第三楽章「希望」である。
今日も世界のどこかで繰り返される「無益な悲劇」が一日も早く終わることを願う。
また、それに加担しないこともあわせて誓いたい。
コンサートでは、穐吉さんが、それぞれの曲を作った時の思いを語ってくれて、鑑賞に味わいを深めた。
また、深い思索から曲が生まれてきているのにあらためて畏敬の念を持った。
素晴らしいコンサートだった。
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のほほん

コルちゃん
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