商業捕鯨が再開された効果か、もしくは地域性なのか、近所のスーパーに常時鯨が並ぶようになった。
福江島にいた子供のころはけっこう食卓に出ていたが、好きな方ではなかった。
社会人になってからは貴重で高価な珍味となってしまって食べることもなかったが、東京で働いていたころにたまに寄っていた寿司屋の親父さんが、いついつくればミンクの刺身が手に入るから食べにこないかというので、初めての経験でもあり誘いにのって出かけたことがあった。
それはそれは口の中で溶けるというがぴったりの稀な体験だった。
鯨を再認識したが、しばらくは幻の食材の時期が続いていた。
狂信的な反捕鯨連中の活動もあり、世界までその風潮に染まり、鯨を食べる文化に負の印象を植え付けられて以降の状況に変化が来ている。
世間や世界が何を言おうが、日本人は鯨を大切に扱ってきた。
頻繁に食べることはないとは思うが、これからも、誇りを持って鯨と向き合おうと思う。