理由を聞かせてください

某コールセンターで。

人手不足につき、土日のどちらか一方出勤するようにしてくれないかと、支社長から申し入れあり、面談。

「がんばっても、半日です。」と言ったら、

「派遣先と交渉しますから、理由を教えてください。」と。
レディーなリルは、きちんと落ち着いて、
「趣味で、ミュージカルに出演しておりまして、土日は、稽古があるんです。」と言いました。

「はー、劇団をやってるんですか。」

「いえ、座員として、所属しております。（クライアントの）前支店長は、見に来てくださったんですよ。」

「え？Aさん?Bさん?」

「Bさんです。わざわざ当日券を買って、見てくださったんです。」

「ほーぉ、そうですか。」さほど感心したふうでもない声でのあいずち。

それから、ここまではできるけど、それ以上はできないって話をしたら、

「まだ、他の仕事探したりしないでね。」と。

「あ、今、今日帰ったら、探そうと思ってました。」とニッコリ

だって、あたし、売れない女優がお金のためにここの仕事してるわけじゃないのよ。

会社だって、私をほしいんじゃなくて私の労働力がほしいだけだって、わかってる。

会社の状況が変わったって説明も受けたから、できるところまでは協力するけど、無理はしない。

今日のところは、支社長が「じゃ、それで、クライアントに交渉しましょう。」と言ってくれたので、
「じゃ、今日は、仕事を探すのやめておきます。」と言ったら、

「そうだよ。その前に僕のとこに来てよ。」とゴルフ焼けの顔でチャラい言い方したので、

それには答えず、ふふふって笑っておきました。

同席していた今の部署の課長（お悔やみの言葉を知らないひとは宇宙のどこかへ転勤したので、その後任）が、一緒にその部屋を出たあとで、

「ネゴシエーションだね～。」と言いました。

そうかしら。
こういうのも縁だと思うから、交渉したつもりはないんだけど。