オレは「スペシャルマン」と呼ばれる正義のヒーローだ。常人の及ばない様々な特殊能力を秘めている。この力で悪を倒し続けているのだ。
さて、ヒーローの条件の一つとして認識されているものに、仲間への揺るぎ無い信頼と絆と言うのがある。ヒーローも一匹狼を気取れる時代ではないのだ。様々な状況が多岐化する中で、たった一人でそれらに対応する事は現実的ではない(本音では、オレ一人ですべてを対応したいのだが)。特に最近では、敵である「ブラックシャドウ」は、オレが闘っていると、全く別の場所にも一団が出現すると言う、同時多発的な攻撃を仕掛けてくるようになった。攻撃方法を熟慮した結果なのだろう。敵ながらその向上心は褒めてやろう。どうだ、敵にも惜しみない賞賛をするオレって、公平だろう?
とは言え、現実問題として、別の場所に敵が現れたらオレは対処出来ない。そうなると、オレ以外のものが闘わなくてはならない。それが警察になるのか、自衛隊になるのか、あるいは別の組織や団体になるのか、オレには分からないが、任せるしかない。任せるからには信頼を置く必要がある。そして、「彼らならばきっと敵を倒してくれる。オレと同じ志しを持っているのだから」と言う、正義の絆を確信する。だから、仮にやられたとしても、それはたまたまだとか、日が悪かっただとか、弁護する気持ちが強くなる。精いっぱい闘ったのだからと慰める気持ちにもなる。
ある時、オレは「ブラックシャドウ」と対戦していた。オレは苦戦を強いられた。敵が今まで以上に強かったからだ。精鋭部隊を送り込んできているようだ。
「だーっはっはっは~!」「アーマーメカ」から「ブラックナイト五号」の不思議な笑い声が聞こえた。「スペシャルマン! 今頃は、他の場所でも我々の仲間が暴れている! お前が我々を倒さなければ、そこへは行けんぞぉ!」
「それがどうしたと言うのだ!」オレは声を張る。「オレが行かなくても、仲間が闘ってくれている! オレは仲間を信頼しているし、強い絆があるのだ!」
「だーっはっはっは~!」「ブラックナイト五号」は笑う。「信頼と絆などと言う、地方の中小企業のCMみたいな事をぬかすな! 我々が厄介だと思っているのは、お前だけなのだ、スペシャルマン! 他は雑魚、烏合の衆だよ」
「そんな事があるものか! 皆、お前たちを憎み、滅びる事を望んでいるのだ!」
「希望や願望で物事が成り立つのなら、我々が地球を支配すると言う思いだけで良い事になるのではないか?」
「そんな事は無い! お前たちを倒す事が正義だ。そして、正義は必ず勝つのだ!」
「それはお前たちの正義だろうが! 我々の正義は、地球を支配する事なのだ!」
「ふざけた事を言うな!」
「ちょっと待て……」「ブラックナイト五号」は言うと黙った。しばらくすると、例の笑い声を上げた。「だーっはっはっは~! スペシャルマン! 今連絡が入った! 他の場所での闘いは、ことごとく我々の勝ちだ! やはり雑魚で烏合の衆だったようだな!」
「スペシャルウーマンはどうしたんだ?」
「知らんのか? あの娘は今試験期間中だ。学業優先とは、学生の鑑だな」
「緊急事態じゃないか!」
「我々に言われても、どうにもならんぞ。文句があるんなら直接言うんだな」
「くそっ! どいつもこいつも、肝心な時に役に立たないとは!」オレは毒づいた。「こうなれば、お前たちだけでも倒して憂さを晴らさせてもらうぞ!」
オレは暴れた。いつも以上に暴れた。我に返った時には、「ブラックナイト五号」は搭乗していた「アーマーメカ」と共に藻屑と化していた。
オレは思った。理想と現実は全く違うのだ。任せて役に立なければ何にも無りゃしない。いざって時に使えないんじゃ何にも無りゃしない。
迂闊だった。何が信頼だ! 何が絆だ! 根拠のない甘い思いなど全くの無意味、自分を誤魔化すための幻想でしか無いのだ!
こんなんじゃ、オレが悪のヒーローになってしまうかもしれない。
さて、ヒーローの条件の一つとして認識されているものに、仲間への揺るぎ無い信頼と絆と言うのがある。ヒーローも一匹狼を気取れる時代ではないのだ。様々な状況が多岐化する中で、たった一人でそれらに対応する事は現実的ではない(本音では、オレ一人ですべてを対応したいのだが)。特に最近では、敵である「ブラックシャドウ」は、オレが闘っていると、全く別の場所にも一団が出現すると言う、同時多発的な攻撃を仕掛けてくるようになった。攻撃方法を熟慮した結果なのだろう。敵ながらその向上心は褒めてやろう。どうだ、敵にも惜しみない賞賛をするオレって、公平だろう?
とは言え、現実問題として、別の場所に敵が現れたらオレは対処出来ない。そうなると、オレ以外のものが闘わなくてはならない。それが警察になるのか、自衛隊になるのか、あるいは別の組織や団体になるのか、オレには分からないが、任せるしかない。任せるからには信頼を置く必要がある。そして、「彼らならばきっと敵を倒してくれる。オレと同じ志しを持っているのだから」と言う、正義の絆を確信する。だから、仮にやられたとしても、それはたまたまだとか、日が悪かっただとか、弁護する気持ちが強くなる。精いっぱい闘ったのだからと慰める気持ちにもなる。
ある時、オレは「ブラックシャドウ」と対戦していた。オレは苦戦を強いられた。敵が今まで以上に強かったからだ。精鋭部隊を送り込んできているようだ。
「だーっはっはっは~!」「アーマーメカ」から「ブラックナイト五号」の不思議な笑い声が聞こえた。「スペシャルマン! 今頃は、他の場所でも我々の仲間が暴れている! お前が我々を倒さなければ、そこへは行けんぞぉ!」
「それがどうしたと言うのだ!」オレは声を張る。「オレが行かなくても、仲間が闘ってくれている! オレは仲間を信頼しているし、強い絆があるのだ!」
「だーっはっはっは~!」「ブラックナイト五号」は笑う。「信頼と絆などと言う、地方の中小企業のCMみたいな事をぬかすな! 我々が厄介だと思っているのは、お前だけなのだ、スペシャルマン! 他は雑魚、烏合の衆だよ」
「そんな事があるものか! 皆、お前たちを憎み、滅びる事を望んでいるのだ!」
「希望や願望で物事が成り立つのなら、我々が地球を支配すると言う思いだけで良い事になるのではないか?」
「そんな事は無い! お前たちを倒す事が正義だ。そして、正義は必ず勝つのだ!」
「それはお前たちの正義だろうが! 我々の正義は、地球を支配する事なのだ!」
「ふざけた事を言うな!」
「ちょっと待て……」「ブラックナイト五号」は言うと黙った。しばらくすると、例の笑い声を上げた。「だーっはっはっは~! スペシャルマン! 今連絡が入った! 他の場所での闘いは、ことごとく我々の勝ちだ! やはり雑魚で烏合の衆だったようだな!」
「スペシャルウーマンはどうしたんだ?」
「知らんのか? あの娘は今試験期間中だ。学業優先とは、学生の鑑だな」
「緊急事態じゃないか!」
「我々に言われても、どうにもならんぞ。文句があるんなら直接言うんだな」
「くそっ! どいつもこいつも、肝心な時に役に立たないとは!」オレは毒づいた。「こうなれば、お前たちだけでも倒して憂さを晴らさせてもらうぞ!」
オレは暴れた。いつも以上に暴れた。我に返った時には、「ブラックナイト五号」は搭乗していた「アーマーメカ」と共に藻屑と化していた。
オレは思った。理想と現実は全く違うのだ。任せて役に立なければ何にも無りゃしない。いざって時に使えないんじゃ何にも無りゃしない。
迂闊だった。何が信頼だ! 何が絆だ! 根拠のない甘い思いなど全くの無意味、自分を誤魔化すための幻想でしか無いのだ!
こんなんじゃ、オレが悪のヒーローになってしまうかもしれない。
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