ベアトレイトスは鞭を放り投げて屈み込むと、軍靴の編み上げ紐を緩め、脱ぎ捨てた。素足で床に立つ。
「貴様の、その整った美しい顔に腹が立つ」ベアトレイトスはアルミーシュの顔を覗き込む。「わたしの、軍靴を履きっぱなしで蒸れた臭い足で踏みつけてやる!」
「お任せします……」目を閉じたままアルミーシュは言う。「私を本来の私に戻してくれる貴女、ベアトレイトス…… 貴女には大いなる祝福を授けたいと思います……」
「祝福だと? わたしは貴様をこうして責め、拷問をしていた現役時代を思い出させてくれるだけで満足だ」
「ですが、それでは私の気持ちが治まりません……」責められて喜んでいるのは私なのですからと、アルミーシュは思い、背や尻に受けた鞭の痛みを甘い疼きに感じている。「何なりと、おっしゃって下さいまし……」
「じゃあ、貴様の教団が盗んだメルーバの女神像を寄越しな」
「何をおっしゃいます!」いつの間にか仰向けになったアルミーシュは上半身を起こす。「それは、根も葉も無い話です!」
「そうかい…… では貴様との関係はここまでだな」ベアトレイトスは軍靴を履き直し、荷物を鞄に詰め始めた。「わたしは帰る」
「お待ちを、お待ちを!」アルミーシュは弾かれたように立ち上がり、ベアトレイトスにしがみついた。赤いタンクトップを引き千切らんばかりに握り締める。「本当は有るのです! 女神像は有ります! 差し上げます! だから、帰らないで!」
「ふん!」ベアトレイトスはアルミーシュの顎を軽く摘まんで上を向かせる。両頬に涙を伝わせた顔も美しい。「最初から、素直にしていれば良いんだよ」
「……はい」ほっとして、全身の力が抜けたアルミーシュは、崩れるように座り込む。「私には邪教の女神像などより、貴女の方が大切なのです。貴女は私の理想なのです」
「では女神像を今すぐ持って来い」
「いえ、それは…… 側近のミルアンカしか知らない場所に隠してあるのです……」
「そうか……」ベアトレイトスは怯えるアルミーシュを見下ろし、にやりと笑う。「じゃあ、一週間時間を遣る。そして、わたしの言う場所に一人で持ってくるんだ」
「分かりました…… でも、ここでお渡ししてはいけませんか?」
「ふん!」ベアトレイトスは、蹴り出すように左右の足を順に振り、まだ紐を結んでいない軍靴を部屋の隅まで飛ばす。素足で立つベアトレイトスを見て、アルミーシュは仰向けに冷たい床に寝転ぶ。「ここまで色々と道具を持って来るのが面倒なんだよ。わたしの言う場所には沢山の責め具がある。一人で来たら、その勇気に免じて最大級に責めてやるよ!」
言い終わるとベアトレイトスは足の裏をアルミーシュの顔の上に乗せた。
「おお、おお、おお……」アルミーシュは鼻音荒く、噎せ返る様な臭気を嗅ぎ、舌を伸ばし足裏の酸い味を味わう。そして、両手で足を持ち、額にある足指を口元へ移して咥え、音を立てながらしゃぶり、指と指との間にも舌を通す。「ベアトレイトス…… 今度は貴女のその足で、私を踏みつけて、私を、汚してください……」
「ふん! どうしようもない教主様だな」
「そうなのです! 私は、どうしようもなく、駄目な、教主なのです! 信者の方々に申し訳ない教主なのです! 身の程を知らせて下さい。私を汚して、身の程を弁えさせて下さい!」
ベアトレイトスはアルミーシュを乱暴に踏み始めた。形の良い胸を、腹を、下腹部を……
アルミーシュの咆哮の様な悲鳴が続く。
つづく
「貴様の、その整った美しい顔に腹が立つ」ベアトレイトスはアルミーシュの顔を覗き込む。「わたしの、軍靴を履きっぱなしで蒸れた臭い足で踏みつけてやる!」
「お任せします……」目を閉じたままアルミーシュは言う。「私を本来の私に戻してくれる貴女、ベアトレイトス…… 貴女には大いなる祝福を授けたいと思います……」
「祝福だと? わたしは貴様をこうして責め、拷問をしていた現役時代を思い出させてくれるだけで満足だ」
「ですが、それでは私の気持ちが治まりません……」責められて喜んでいるのは私なのですからと、アルミーシュは思い、背や尻に受けた鞭の痛みを甘い疼きに感じている。「何なりと、おっしゃって下さいまし……」
「じゃあ、貴様の教団が盗んだメルーバの女神像を寄越しな」
「何をおっしゃいます!」いつの間にか仰向けになったアルミーシュは上半身を起こす。「それは、根も葉も無い話です!」
「そうかい…… では貴様との関係はここまでだな」ベアトレイトスは軍靴を履き直し、荷物を鞄に詰め始めた。「わたしは帰る」
「お待ちを、お待ちを!」アルミーシュは弾かれたように立ち上がり、ベアトレイトスにしがみついた。赤いタンクトップを引き千切らんばかりに握り締める。「本当は有るのです! 女神像は有ります! 差し上げます! だから、帰らないで!」
「ふん!」ベアトレイトスはアルミーシュの顎を軽く摘まんで上を向かせる。両頬に涙を伝わせた顔も美しい。「最初から、素直にしていれば良いんだよ」
「……はい」ほっとして、全身の力が抜けたアルミーシュは、崩れるように座り込む。「私には邪教の女神像などより、貴女の方が大切なのです。貴女は私の理想なのです」
「では女神像を今すぐ持って来い」
「いえ、それは…… 側近のミルアンカしか知らない場所に隠してあるのです……」
「そうか……」ベアトレイトスは怯えるアルミーシュを見下ろし、にやりと笑う。「じゃあ、一週間時間を遣る。そして、わたしの言う場所に一人で持ってくるんだ」
「分かりました…… でも、ここでお渡ししてはいけませんか?」
「ふん!」ベアトレイトスは、蹴り出すように左右の足を順に振り、まだ紐を結んでいない軍靴を部屋の隅まで飛ばす。素足で立つベアトレイトスを見て、アルミーシュは仰向けに冷たい床に寝転ぶ。「ここまで色々と道具を持って来るのが面倒なんだよ。わたしの言う場所には沢山の責め具がある。一人で来たら、その勇気に免じて最大級に責めてやるよ!」
言い終わるとベアトレイトスは足の裏をアルミーシュの顔の上に乗せた。
「おお、おお、おお……」アルミーシュは鼻音荒く、噎せ返る様な臭気を嗅ぎ、舌を伸ばし足裏の酸い味を味わう。そして、両手で足を持ち、額にある足指を口元へ移して咥え、音を立てながらしゃぶり、指と指との間にも舌を通す。「ベアトレイトス…… 今度は貴女のその足で、私を踏みつけて、私を、汚してください……」
「ふん! どうしようもない教主様だな」
「そうなのです! 私は、どうしようもなく、駄目な、教主なのです! 信者の方々に申し訳ない教主なのです! 身の程を知らせて下さい。私を汚して、身の程を弁えさせて下さい!」
ベアトレイトスはアルミーシュを乱暴に踏み始めた。形の良い胸を、腹を、下腹部を……
アルミーシュの咆哮の様な悲鳴が続く。
つづく
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