匂いガラスが流行ったのは小学校の頃。
透明で鋭い角のない、ただの厚い板ガラスのような破片だった。
どこかで売っていたのか、誰かからもらったのか覚えがない。
木にこのガラスをゴシゴシ擦りつけて匂いをかぐと、
香水のような、かすかないい匂いがした。
私たちは匂いガラスと呼んでいた。
休み時間になると、教室のあっちこっちで、机にこのガラスを擦り
つけていた。 そしてサッと机やガラスの匂いをかぐのだ。
今考えると、なぜこれぐらいのことを面白がっていたのだろうと思う。
その頃、日本はまだ貧しく物が不自由な時代だった。
子どもたちは、ささやかなことに楽しみをみつけていた。
やってみたことがあるが、普通のガラスではまったく匂わない。
何に使われて、なぜ匂うのか不思議なガラスだった。
その後、このガラスの正体を知った。
なんと戦闘機の風防ガラスで、ガラスではなくプラスチックだそうだ。
私の小学生の頃はとっくに戦争は終わっていたが、どこかに墜落した
飛行機がまき散らしたものでもあったのだろうか。 それにしても、
どうして擦るといい匂いがするなんてわかったのかな。
からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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