形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

銀トカゲ(ニホントカゲ)

2013-09-20 18:39:57 | Weblog

今年の夏は暑かったせいか、庭で珍しく銀トカゲをよく見る。
いままで、こんなに見たことはなかった。 
夏のつよい光の中で、青味がかった美しい銀色のからだを閃かせている。
たぶん1、2年前に卵がたくさん生みつけられ、それがかえったのだと思う。
見るのはたいてい4、5センチほどの子どもだ。

子どもの頃、友だちと遊ぶのは、たいてい多摩川か池上本門寺の森だった。
その頃、男の子たちが憧れていた生きものは、鬼ヤンマ、銀ヤンマ、
赤い大きなハサミをもつザリガニの真っ赤チン、銀トカゲなどだ。 
銀トカゲ以外は捕ったことがあるが、このトカゲだけは捕ったことも、
誰かが捕ったという話も、一度も聞いたことがなかった。 
正式な名称、ニホントカゲ。 

なぜ捕まらないかというと、とても警戒心が強く、近づくことさえ出来ないからだ。 
そして銀トカゲが逃げ込むところは、どうにもならない石垣の隙間や、大きな岩の
あいだときまっていた。

遠くの石の上で日向ぼっこしている銀トカゲを見つけると、私たちは
隠れながらそっと近づいていく。 しかし網が届くはるか手前で、
銀トカゲは頭を持ち上げ、じっと警戒態勢をとる。 そしてさっと岩や
石垣のあいだに入り込んでしまう。 何度、大きな岩のあいだに棒切れを
突っ込んで、動かそうと試みたことか。 捕まらないからよけいに、
男の子たちの憧れの的だった。
銀トカゲを初めて捕まえ、手の中でその姿を見たのは、
今住んでいる千葉の片田舎で、四十歳を過ぎてからだった。


からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/


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