バー・サフラン
ここはバー・サフラン、大人の憩いの場所。毎晩様々な人が集い、楽しい話に花を咲かせる。週末ともなると、怪しげな話が飛び交う。さて、今夜のお客さんは・・・・・
バーテンダー: いらっしゃいませ。おや先生、今夜はお早いお越しで珍しいですね。どうぞ奥の席に。いつものようにまずビールにされます?。アメリカの友人がうまいクラフトビール(地ビール)を送ってくれたのがありますが。
男客: 確かにこのビール旨いね。それにたまには早くから酒を飲むのもいいもんだね。それより、最近家内の奴、毎晩バーやナイトクラブに行ってるんだよ!
バーテンダー: それはまたどうして。
男客: 彼女いわく、「僕を探しに」だってさ。どうだか分かったもんじゃないが。それで今夜は早く帰宅しようと思ってるだがね。
バーテンダー: ところで、先生のところ「ヒッグス粒子」の発見で大騒ぎではありませんか?
男客: わたしは文系で直接関与してないが、物理のほうでは多くの人が研究に携わってるので、そりゃぁー喜びようは大変なものだったね。まだ興奮冷めやらずといったところだよ。友人の話だと、我々人類は4%程度しか分かってなくまだ96%は未知の物質でこの宇宙は埋め尽くされてると。まだまだ終わりのない先の長-い研究が続くんだろうね。
バーテンダーは客の話を聞きながらブランデーとペパーメントをシェーカーに入れて、シェークした後カクテルグラスに注いだ。
バーテンダー: 先生カクテル「スティンガー Stinger」をどうぞ。
男客: 甘口の中に爽やかさが漂う。旨いね。それにしても、君も食わせ物だね。家内の話しを聞いて僕に「Stinger」か。私の専門は英文化だと知ってるよね。そろそろ帰るとするか。せいぜい家内に「刺され」ないようにしないとね。
Stinger =刺す動物、いやみ、当てこすり、皮肉、痛撃
バーテンダー: 申し訳ありません。そろそろお帰りになったほうが宜しいかと思いまして。
男客: ところで私のセミナーに興味深い女性が来ていてね、熱心に勉強してるよ。講義の後ちょっと雑談する機会があったがね、面白いことに自分のことを「マンハッタン」と呼んでいて、どうも君の事知ってるみたいだったよ。