今ほど、ユダヤ民族に対する世界的バッシングが高まっている時代はないと言えます。2024年10月7日のテロ組織ハマスのイスラエル攻撃から始まった、パレスチナでの紛争は、多くの方々が犠牲となり、速やかな停戦を訴えるデモが各地で行われています。同時に、停戦を訴えるデモが偏った情報に先導され、反イスラエル、反ユダヤ人的になっているのを身近に感じます。私が参加している地域の会でも、世界の平和を求める方々からの発言。「わたしはユダヤ人に関するある本を読んだんだけど、大体あの民族は、昔、神からこの地を与えると言われ、自分たちの土地だってパレスチナの地域を言っているのよ」、「ユダヤ人が経営者の店に対する、不買運動のことが書いてあるチラシがここにあります」一方で、「でも、イスラエルの人(ユダヤ人)が皆悪いわけじゃない、戦争反対の人もいる。一部の政治家たちが戦争しているんであって、どうなのかしらねえ?」との発言もあり。クリスチャンの中でさえも「イスラエルは、ガザで民族虐殺をしている」と、偏った情報をもとに抗議の発言がなされているのは悲しいことです。
私はイスラエル在住のクリスチャンNGOからの情報を毎月読んでいますが*1、その情報と日本のニュース、SNSのイスラエルを悪者に仕立てる報道との乖離に驚かされます。「イスラエル国防軍はガザの一般市民の犠牲を回避する対策をとり、人道支援物資が届くように全力をつくしている」とイスラエル側がいくら主張しても、国際機関の反応はイスラエルのガザ地区での戦争犯罪を主張しています。一方、2007年以来、ガザ地区で実権を握ってきたハマスに虐待されてきたガザ住民の話はニュースになりません。ハマスは自分たちに反対する者を拷問、処刑、恐怖で人々を支配しており、現在も運び込まれた支援を強奪し、残りを転売していたとのガザ住民から報告があります。ある男性がハマスに食料を奪われて、抗議すると足を撃たれたところ、イスラエルの国防軍に助けられ、水と食料をわけてもらったこと。このようなニュースは決して日本、世界のSNSで伝えられないのはなぜでしょうか。
神様は、約4000年前に世界の人々、すべての民族を救うために一組の夫婦を選ばれました。アブラハムとサラ、イスラエル民族の父祖であり、キリスト教にとっても信仰の父祖であります。彼らの子孫を通して、神様の祝福がすべての民族に及ぶようにと言われたことが、聖書に記されています。そこには神様がアブラハムに「土地を与える」約束も記されていますが、その土地:パレスチナ地域はアジア、ヨーロッパ、アフリカの三大大陸の橋のような所で、人類史上様々な民族が移動する場所、いつも戦争が起こる場所であります。神様はそんな地域、他の民族がすでに住んでいる地域をわざわざ選ばれ、アブラハムに約束しました。
「ここはこの民族の土地」、「この国の土地」と主張するところに戦争が起こります。ロシアとウクライナもそうです。しかし、そもそもすべての土地は、天地を創造された、人を造られた神様のものであるというところに立てば、互いを尊重して、過去を恨まず、それぞれの地域に住めれば、争う必要はないはずです。神様がアブラハムに与えるという嗣業の土地は、物理的にはパレスチナ地域でありますが、もっと大きな意味で神様の祝福が及ぶ神の国の広がりを考えると、この土地があの土地がと言い争うこと自体が無意味に思えます。神様はすべての民族が平和的に互いに愛し合うことを望まれて、憎しみが作り出す民族間の壁はキリストによって壊されると言っています*2。神様はアブラハムとその子孫を通してすべての民族に神の祝福が及ぶこと、その子孫であるイエス・キリストによって、すべての人が救いに与る計画があることを下記の聖書の箇所は記しています。
私は戦争を続けるイスラエル、ロシア、ウクライナの政治家たちには反対です。一日も早く、政治家たちに神様が働かれ停戦がなされるように、これ以上人々が戦闘員も民間人も命が失われないように祈り続けるとともに、反ユダヤ主義思想に対して「情報がおかしい」と人々が気が付くように祈っていきたいと思います。またほとんどのユダヤ人がイエス様をメシヤ(救い主)としてまだ信じていなくとも、いつか信じる時がくることを待ち望み*3、神様が選ばれたイスラエルの為にも祈りたいと私は思います。
「主はアブラムに言われた。『あなたは生まれ故郷 父の家を離れて わたしが示す地に行きなさい。わたしはあなたを大いなる国民にし あなたを祝福し、あなたの名を高める 祝福の源となるように。あなたを祝福する人をわたしは祝福し あなたを呪う者をわたしは呪う。地上の氏族はすべて あなたによって祝福に入る。』」 創世記12章1-4節
*1『Olive Life 2025年1月号』、特定非営利活動法人B.F.P., Japan (ブリッジ・フォー・ピース)参照, ホームページ https://www.bfpj.org
*2エフェソの信徒への手紙2章14-16節 「実に、キリストはわたしたちの平和であります。二つのものを一つにし、御自分の肉において敵意という隔ての壁を取り壊し、 規則と戒律ずくめの律法を廃棄されました。こうしてキリストは、双方を御自分において一人の新しい人に造り上げて平和を実現し、 十字架を通して、両者を一つの体として神と和解させ、十字架によって敵意を滅ぼされました。」
*3 ローマの信徒への手紙11章25-36節 参照