(益子教会 毎週木曜10時半「聖書に親しむ会」で、旧約聖書を創世記から順に学んでいます。その概要を掲載しています)
〇12月26日(木) 創世記10章 民族表
この章では、大洪水でひとたび人類が滅び、箱舟にのって生き残ったノアとその家族たち(ノアの子ども達セム、ハム、ヤフェトとその妻達)から、どのように人が増え広がっていったかを、3人の息子から分かれた民族、氏族を列挙しています。
この民族表は、9章1節で神様が「産めよ、増えよ、地に満ちよ」とノアと3人の子たちに祝福して言われたことが、実現したことを表している内容と言えます。ノアの子孫である諸氏族を、民族ごとの系図にまとめたものだと記しています(32節)。古代オリエントの地図を見ますと、この民族表に記されている名と同じ地名がいくつか記されているのも、その氏族がその地域に住み、そして町の名や土地の名になって言った形跡が見られます。考古学的に聖書以外の文献と照合すると、その系図と民族が住んでいたとされる地域が一致しないこともありますが、この聖書の記された時代の政治的局面(例えば、エジプトがパレスチナ地方を従属国としていた時代)を反映しているからであろうと言われます。
使徒パウロはアテネで人々に宣教した時にこう言っています。「神は、一人の人からすべての民族を造り出して、地上の至るところに住まわせ、季節を決め、彼らの居住地の境界をお決めになりました。これは、人に神を求めさせるためであり、また彼らが探し求めさえすれば、神を見出すことができるようにということなのです。実際、神はわたしたち一人一人から遠く離れてはおられません。」(使徒言行録17章26-27節)イスラエル民族の祖先(セム系)だけではなく、全ての民族の始まりを記しているこの民族表から、人類は唯一の創造者である神様より造られ、全ての民族が将来神様を求め、救いに与れるようになるとの神様の救いのご計画を読み取れます。パウロはアテネの人々に、キリストの福音を人類の原初史に遡って説明していたのかもしれません。