【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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橋本治 金言集 『ナインティーズ』 読書メモ (コメントなし) <第9回>

2012年07月07日 | マーケティング話
<第8回>より続く。

■宗教と信仰(2)

江戸時代の日本人達は、「もう十分に自分の頭でものを考えられる」と思ったもんだから、「もう宗教なんかいらないよ」と言ってしまったのに等しい。だから“その後”に困ったんですね。「自分達はもはや、“宗教なんていらない”という段階に達しているんだ」という自覚がまーったくなくなっていたから-それくらい、“江戸の宗教改革”は徹底していたもんだから-宗教の意味が分からない。今に至ってもそうで、宗教の問題が出て来ると「日本人には分からない」で逃げてしまうけれども、「なぜ分からないのか」を少しは考えてみればいいと思う。「日本人は、もうとうの昔に宗教から自由になっていたから」ですよ。

宗教から自由になっていて、自分の頭で自由に物事を考えられるだけの前提は確保しているくせに、“考え方”が分からないもんだから、ただボーっとしている。ボーっと自足して“現実生活”というところばかり目を向けて、自分達がどういう浪費をしでかしているのかさっぱり分からないんだから、困ったもんです。

宗教による思想支配という時代はとうに終わって、後は自分の頭で考える近代の到来を待つだけになっていたのに、やっぱり江戸三百年の自己完結は大きかったんでしょうね。「難しいことはオサムライサマがなんとかしてくださる」と思って、前近代のぬるま湯から一歩も出て来やしない。日本の場合、宗教はないけど、“信仰”という柔軟な生活態度だけは、ちゃーんとあるんですね-今でも。

「親からはとうに独立したのに、大人の自覚がまったくないまんま」というのは、「親から独立するっていうことは、親なるものの持つプレッシャーの存在を自覚してそれを跳ね返すだけの力をつけることである」ってことが、分かってない結果ですけど、それは「宗教がいかにプレッシャーとして働くかということが、とうの昔に宗教から自由になってしまった日本人にはよく分からない」ということとおんなじですね。

日本の親が甘いのは、多分、日本の宗教がとうの昔に大甘になっていたことと関係していると思いますね。

(同書177~178ページより)

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