【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

トレンド分析ML251の文化マーケティング関連Blogです。ML251の主業務はトレンド分析をコアにしたデスクリサーチ。

女性アーティスト「魅力度」への影響項目(数量化Ⅰ類)②

2007年10月28日 | 女性アーティストブランド価値評価・構造
 こんにちわ! 私です。
 今日、東京地方は「台風一過」の秋晴れ。
 私は子供の頃、「台風一家」という怖い人達(?)が、
 「雷様」のように、本当に居座っているのかと思ってました。

■統計処理の意味

 前回は、音楽分野といってもメディアを流通するメジャーアーティストの場合、
 その「魅力度」には「感覚価値」、特に「ルックスのよさ」が最も影響度が高い、
 といういくつかの事例を紹介しました。

 通常、ユーザー調査の場合、単純集計が最もわかりやすいわけです。
 例えば、「ブランド価値評価」の結果がありますよね。(↓)

  

 で、今回のケースは、「観念価値」の「魅力的」に対して、
 「基本価値」「感覚価値」のどの評価項目の影響度が高いのか?
 について、トップ5項目を数値化してみたわけです。

 では、なぜ「多変量解析」という面倒臭い統計処理を加えるのか?

 それはユーザーの「深層心理」を可視化=数値化するためです。
 勿論、統計的に100%正しい、という仮説ではありませんが、
 制作側・供給側の「経験則」と、
 ユーザーの頭の中との齟齬を浮き彫りにできるというメリットもあるのです。

■同じ「セクシーさ」でも

 前職時のレポートで、「セクシーな感じがする」のポイントが最も高かったのは、
 倖田來未でした。(81.1%。但し、母数はアーティストが「好き」な人)
 これは特筆するまでもない結果だと思います。

 次いで、約10ポイントの差で、hitomi(69.0%)、
 東京事変(椎名林檎)(60.9%)と続きます。

 もちろん、だからと言って、
 倖田來未の「魅力度」に最も強い影響を及ぼすのが、
 「セクシーさ」とは限りません。
 こちら(↓)が、倖田來未の結果です。

   

   1.フレッシュな感じ (0.609)
   2.セクシーな感じがする (0.510)
   3.ボーカルの声質がよい (0.496)
   4.ファッションセンスがいい (0.295)
   5.ルックスがいい (0.113)

 ヴィジュアル面=「感覚価値」の「フレッシュな感じ」が最も高いですね。
 「セクシーな感じがする」も「0.510」で高いんですけど、
 「基本価値」の「ボーカルの声質がよい」も「0.496」と、
 「セクシーな感じがする」に匹敵するほど高くなっています。

 「ブランド価値評価」で「セクシーな感じがする」が2番目に高かったhitomiの場合はどうでしょうか?(↓)

    

   1.ボーカルの声質がよい (1.100)
   2.フレッシュな感じ (0.639)
   3.セクシーな感じがする (0.565)
   4.ルックスがいい (0.564)
   5.ファッションセンスがいい (0.379)

 ダントツに高いのが、「基本価値」の「ボーカルの声質がよい」(1.100)です。
 「セクシーな感じがする」は3番目で「0.565」です。
 ビジュアル面の評価が高いながらも、
 「声質」が「魅力度」に貢献する比率の高さが目立ちます。

■「基本価値」の影響は?

 東京事変(椎名林檎)の場合はどうでしょうか?(↓)

    

   1.ボーカルの声質がよい (0.819)
   2.ファッションセンスがいい (0.764)
   3.歌詞の内容が好き (0.578)
   4.セクシーな感じがする (0.476)
   5、曲の構成がよい (0.474)

 「ボーカルの声質がよい」の影響度が最も高く、
 「歌詞の内容が好き」「曲の構成がよい」という3項目と合わせ、
 「基本価値」の3評価項目がトップ5に入っています。
 “音楽的な評価”の「魅力度」に与える影響が強く、
 その中に、「ファッションセンスがいい」「セクシーな感じがする」という
 「感覚価値」がさりげなく入っている、という感じでしょうか。

 やはり、「魅力度」に影響する項目が、「基本価値」で多いのが、
 mihimaru GT です。
 ただし、「歌唱力」や「声質のよさ」という属人的な項目よりも、
 「楽曲」についての項目が目立っています。(↓)

   

   1.曲が洗練されている (0.937 )
   2.ルックスがいい (0.722)
   3.楽曲と合っている (0.629)
   4.曲の構成がよい (0.569)
   5.ボーカルの声質がよい (0.470)

 「曲が洗練されている」「曲の構成がよい」が1番目と4番目。
 「感覚価値」でも、「ルックスがいい」とともに「楽曲と合っている」が
 3番目です。

 ところで、アーティストにとって最も大切な評価項目と考えられる、
 「歌唱力」についてはどうなんでしょうか?

 実は50アーティスト中、「魅力度」に影響するトップ5項目に、
 「歌唱力」が入っていたのは、AIと絢香のみでした。

 「歌唱力」はあって当然(「当たり前品質」)なんでしょうかね?

 AIの場合でも、(↓)

   

   1.ルックスがいい (0.818)
   2.楽曲と合っている (0.668)
   3.歌詞の内容が好き (0.668)
   4.ボーカルの声質がよい (0.594)
   5.歌唱力がある (0.263)

 トップ2は、「ルックスがいい」と「楽曲と合っている」の「感覚価値」。
 「歌唱力がある」は5番目(グラフでは一番左側の棒)ですね。

■統計処理の可能性

 冒頭に、統計処理を行なう意味を、ユーザーの深層心理の可視化=数値化、
 と述べましたが、
 かつて一斉を風靡したアーティストが、
 現在のポジションから更なる飛躍を遂げるには何が必要か?
 ヒントを与えることもできます。

 例えば矢井田瞳の場合です。(↓)

   

   1.時代遅れでない (0.772)
   2.ボーカルの声質がよい (0.762)
   3.歌詞の内容が好き (0.583)
   4.ファッションセンスがいい (0.546)
   5.ルックスがいい (0.490)
 
 「基本価値」の「声質」「歌詞の内容」がいいのは当たり前として、
 「時代遅れでない」という時代性こそ「魅力度」への影響が最も高い、
 という結果です。
 アーティストにとってどういった「時代性」が最適なのか?
 については、個々に詳細な検討が必要ですが。
 (こういう時に「経験則」も威力を発揮します)

 今回は「魅力度」への影響項目について書きましたが、
 調査設計時に、
 「購入意向」
 「購入経験」
 「購入金額」
 といった数値データを想定すれば、
 もっと役立つデータを得ることが出来ます。

 「メディア接触経験」を使ってもいいでしょう。

 購入へのトリガー

 については、多変量解析を使わずとも、
 「CD購入のキードライバー」で簡単に見ることもできますが、(↓)

  

 「ブランド価値」評価項目ではなく、
 もっと具体的なユーザーの性向や、メディア接触、購買行動、
 などの項目を使って、さらに具体的で施策に有効な結果を導き出すことも可能なのです。
 もちろん、ユーザーの深層心理の可視化=数値化が必要な場合には、
 「多変量解析」が有効なことは言うまでもありませんが。

**************************************************************************
 お読み頂き有難うございます。
 (↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。


最新の画像もっと見る