紫苑の部屋      

観劇・絵画と音楽・源氏物語      
について語ります        

文楽「義経千本桜」(12月国立劇場)

2006-12-22 12:28:34 | 観劇
玉男さんを失った文楽、人間国宝は、4人となってしまった。
蓑助さん、文雀さんの人形遣い、義太夫の竹本住大夫、三味線の鶴澤寛治です。
将来の文楽を担う若手の成長に、期待するほかありません。
12月東京の文楽は、そういう意味で欠かせないものでした。

「義経千本桜」は歌舞伎でもお馴染み、
頼朝との仲が決定的となりつつある義経が、京から脱出し西国に落ちる、というのを背景に、
滅亡したはずの平家の知盛、維盛、教経が実は生きていた、という設定で、
いろいろな人を(狐も)巻き込んでのエピソードが語られていきます。
洗練尽くされた語りと、さまざまな人間模様のストーリー、舞、見せ場の意匠、
一大叙情詩といわれている、所以です。

今回の文楽は、そのうちの前段
初段 堀川御所の段
2段目 伏見稲荷、渡海屋・大物浦の段
初段 卿(旧字きょう)の君が平家一族の娘(実は頼朝の家来の川越氏の実子)というので、
疑いを晴らすため自害、
しかし、弁慶の軽率な行動のため、無駄死になってします。
この辺の、弁慶の人物像、卿の君と静の淡白なからみ、独特です。
2段目口、静を縄で木に縛り付けてしまうというのも、どうかと思ってしまいますが、
狐忠信の出を演出する、と思えば、納得かな。
そして銀平=知盛の物語です。
幽霊知盛のほうは「船弁慶」で格調高く演じられるところでもありますが、
原作はあくまでリアリティをもたせています。
玉女さんの知盛、期待どおりの立派さでした。
川越太郎の勘十郎さんもやっぱり華がありました。
そして初段奥で、私のご贔屓、燕三さん、と組んだ呂瀬大夫、
低くて、いいお声でした。
今回右手5列目だったので、お三味線じっくり聞けてよかった!
(06/12/11観劇)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿