紫苑の部屋      

観劇・絵画と音楽・源氏物語      
について語ります        

虫の音にムラサキシキブ

2014-09-13 22:45:55 | ことば歳時記
↑ムラサキシキブの実がいつのまにか


白露の四十四候、鶺鴒鳴、セキレイ鳴くです。

セキレイを見かけることはできませんが、
夜の庭から、虫の声が聞こえてきました。

窓越しの植え込みのほうからは、
松虫、細く可愛らしい、
少し遠くのほうからは、よく透る高い声、
蟋蟀(こおろぎ)…のようです、
自己主張しています。

松虫は、平安の頃は鈴虫といったそうで、
あの源氏物語の鈴虫、横笛で共鳴したのは松虫だったのですね。


源氏物語絵巻 鈴虫二(五島美術館蔵)

鈴虫をうたったものとして、忘れ難いのは、
桐壷の巻、桐壷更衣を失った帝の使者として遣わされた、靱負命婦
更衣の母のところから内裏に戻ろうとして、鈴虫の音を聞く
たまらなくなって、詠じます。

   鈴虫の声の限りを尽くしても
      長き夜あかずふる涙かな


悲しみにくれる帝と母君ではなく、
それを見守るおそばの女官に異例の心境を語らせる、
だからこそ、読む者に伝わる、計算されてます。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿