団十郎1年祭と銘打った団菊祭、
この1年早かったですねー
歌舞伎18番
矢の根
初めて観たせいか、
目新しい、面白い場面がここそこにあって、とても新鮮でした。
浄瑠璃は大薩摩、
その語りと松緑の曽我五郎の掛け合い、
内容がよくわからないのが、残念ですが、
面白い。
長唄の邦楽曲集をひも解くと、
虎と見て 石に田作 柿膾(なます)
矢立の酢牛蒡(ごぼう)煮凝り大根、
一寸の鮒に 昆布の魂
と正月料理をなぞっていたり、
七福神に自問自答の悪態をついたり…
先ず大黒は慮外者
恵比寿は身持がうそぎたない
毘沙門天の兜頭巾は用心すぎてうつとしい
布袋はどぶつ
福禄寿は月代剃るに手間がいる
弁財天は船饅頭…
現代人には、さっぱりなのですが、
江戸の人々はピーンときたことなのでしょうね。
そして五郎の出で立ちは荒事の典型、それだけで楽しめます。
五郎の衣裳には蝶があしらえてあります。
荒々しい人物に可愛らしい蝶、錦絵の世界!
小道具も面白い、
特大の矢の根をとぐ、砥石
五郎が腰かけている椅子のようなものが後ろにあったり前にあったりするのは、炬燵。
そこへ、大薩摩の太夫が舞台にあらわれ、年始の挨拶、
今回は権十郎さんですが、太夫その人が出てくることもあるらしい。
持参したのは宝船の絵、
その絵を砥石の枕の下にして
その姿のまま仰向けに横になります。
そのバンザイ姿を支えるのは後見の腕、両者とも息が合ってなくてはできません。
夢に現れる曽我十郎、あの田之助のお姿の若いこと、美しいこと!
そして兄を助けようと駆け出す五郎の身支度、
後見のプロのお手並みの見せどころ、きっちり決まるときの歓声、
今回は、
舞台中央で後見、着付け師でもあるのですね、、
鮮やかに仁王襷を結ぶデモストレーション
これが素晴らしい、大きな拍手がなりました。
柱巻の見得
のあと、裸馬に跨る、
これってむずかしいのでしょうね、
なんだか、松緑さん、大変そうにみえました。
たとえば、実盛は鞍があるからでしょうか、そんなに大変とは感じさせないのですが…、
それとも役者の力量なのでしょうか
幡随長兵衛
海老蔵の長兵衛は二回目ですが、
ぶっきらぼうなセリフ、
ちっとも進歩してないかも。
菊五郎の水野、時蔵のお時を得て、
辛うじて務められたというところでしょうか。
ところで、
黙阿弥がこの演目を書き江戸っ子の人気をさらった、のですが、
わたしは、長兵衛はちっともかっこいい、とは思えない。
武士に切り捨て御免となった不条理、
これで子分たちが収められるわけもなく、息子がまっとうな生き方ができる保証があるわけでもない。それでも、殺されに出向く。
長兵衛のそうした男気に拍手喝采、の江戸っ子は、世情へのうっ憤晴らしをしていたのでしょうね。
事実、極付け、とあるように、史実に基づいているわけで、謀殺された町奴への判官びいき、というところでしょうか。
鏡獅子
菊之助の鏡獅子
弥生が美しいだけでなく、丁寧に折り目正しく、それももちろんいいですが、
私は、獅子の精に、オンリーワンの鏡獅子、を感じました。
弥生が徐々に踊りにのめり込み、ふと我を忘れる
そして、我知らず獅子に魅入られていく、
獅子の精が弥生にとりつく、というのではなく、
変貌した弥生が獅子そのものになっていく、
それが感じられました。
そういう獅子を演じられたことに、拍手喝采です。
余談ですが、最後幕が降りる寸前
恐る恐る片足立ちに…
知らないとなりのひとと顔を見合わせて、
頑張っていますね
と、その初々しさ 思わず笑ってしまいました。
(歌舞伎座 2014/5/12観劇)
この1年早かったですねー
歌舞伎18番
矢の根
初めて観たせいか、
目新しい、面白い場面がここそこにあって、とても新鮮でした。
浄瑠璃は大薩摩、
その語りと松緑の曽我五郎の掛け合い、
内容がよくわからないのが、残念ですが、
面白い。
長唄の邦楽曲集をひも解くと、
虎と見て 石に田作 柿膾(なます)
矢立の酢牛蒡(ごぼう)煮凝り大根、
一寸の鮒に 昆布の魂
と正月料理をなぞっていたり、
七福神に自問自答の悪態をついたり…
先ず大黒は慮外者
恵比寿は身持がうそぎたない
毘沙門天の兜頭巾は用心すぎてうつとしい
布袋はどぶつ
福禄寿は月代剃るに手間がいる
弁財天は船饅頭…
現代人には、さっぱりなのですが、
江戸の人々はピーンときたことなのでしょうね。
そして五郎の出で立ちは荒事の典型、それだけで楽しめます。
五郎の衣裳には蝶があしらえてあります。
荒々しい人物に可愛らしい蝶、錦絵の世界!
小道具も面白い、
特大の矢の根をとぐ、砥石
五郎が腰かけている椅子のようなものが後ろにあったり前にあったりするのは、炬燵。
そこへ、大薩摩の太夫が舞台にあらわれ、年始の挨拶、
今回は権十郎さんですが、太夫その人が出てくることもあるらしい。
持参したのは宝船の絵、
その絵を砥石の枕の下にして
その姿のまま仰向けに横になります。
そのバンザイ姿を支えるのは後見の腕、両者とも息が合ってなくてはできません。
夢に現れる曽我十郎、あの田之助のお姿の若いこと、美しいこと!
そして兄を助けようと駆け出す五郎の身支度、
後見のプロのお手並みの見せどころ、きっちり決まるときの歓声、
今回は、
舞台中央で後見、着付け師でもあるのですね、、
鮮やかに仁王襷を結ぶデモストレーション
これが素晴らしい、大きな拍手がなりました。
柱巻の見得
のあと、裸馬に跨る、
これってむずかしいのでしょうね、
なんだか、松緑さん、大変そうにみえました。
たとえば、実盛は鞍があるからでしょうか、そんなに大変とは感じさせないのですが…、
それとも役者の力量なのでしょうか
幡随長兵衛
海老蔵の長兵衛は二回目ですが、
ぶっきらぼうなセリフ、
ちっとも進歩してないかも。
菊五郎の水野、時蔵のお時を得て、
辛うじて務められたというところでしょうか。
ところで、
黙阿弥がこの演目を書き江戸っ子の人気をさらった、のですが、
わたしは、長兵衛はちっともかっこいい、とは思えない。
武士に切り捨て御免となった不条理、
これで子分たちが収められるわけもなく、息子がまっとうな生き方ができる保証があるわけでもない。それでも、殺されに出向く。
長兵衛のそうした男気に拍手喝采、の江戸っ子は、世情へのうっ憤晴らしをしていたのでしょうね。
事実、極付け、とあるように、史実に基づいているわけで、謀殺された町奴への判官びいき、というところでしょうか。
鏡獅子
菊之助の鏡獅子
弥生が美しいだけでなく、丁寧に折り目正しく、それももちろんいいですが、
私は、獅子の精に、オンリーワンの鏡獅子、を感じました。
弥生が徐々に踊りにのめり込み、ふと我を忘れる
そして、我知らず獅子に魅入られていく、
獅子の精が弥生にとりつく、というのではなく、
変貌した弥生が獅子そのものになっていく、
それが感じられました。
そういう獅子を演じられたことに、拍手喝采です。
余談ですが、最後幕が降りる寸前
恐る恐る片足立ちに…
知らないとなりのひとと顔を見合わせて、
頑張っていますね
と、その初々しさ 思わず笑ってしまいました。
(歌舞伎座 2014/5/12観劇)
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