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クレアモントホテル―岩波映画

2011-02-06 20:01:23 | 映画
ロンドンの古い街角のとあるホテル、
長期滞在の老婦人と老紳士たちの、小さなものがたり。
いわば今日の老人問題を、英国の知的でおしゃれな味付けをすると、
こんなにもすてきな映画になる、のですね。

長期滞在型のホテルって、ロンドンで流行っているのでしょうか?
新聞広告で見つけた、といってましたね。
高級ホテル1泊分で1週間滞在できる2.3流のホテルもあるとか?

老人ホームではなく、あくまでホテルですので、
ディナーにはドレスアップしてデビューする夫人、
こういうところが暗ーくなりがちの老人だけのホテルをどこか、
陽気にしています。

そして、突然ある美しい青年に介抱され、孫と偽りデートを重ねます。


あまーい思い出の曲を口ずさむロミオのような青年↑を見つめながら
涙する老婦人の思いはどのように解すべきか?
美しかった愛する人と思い出を青年に見るのでしょうか?
青年は、言う、遅く生まれすぎたと。
ありえない恋心‥、
ともいえないほど、この老女優はチャーミングでした。
いつしか、青年にも本当の恋に出会い、
老夫人は静かに齢をまっとう‥
このおとぎ話は終息にむかうのでした。

さてこの老女優、ジョーン・プロウライ、
知名度は薄いのですが、
ローレンス・オリヴィエ夫人
永遠のマリア・カラスで老ジャーナリストで出てきた、
といえば、馴染み深い、ですね。
英国の映画俳優は、ほとんどといってよいほど、
舞台俳優の洗練を受けてデビューしているのですね。
脇役の老女優陣も歌と踊り、達者です。

それからもうひとつ、この映画のすてきなところ、
ワーズワースの詩、
詩の暗唱、しばし忘れていた懐かしい情景です。
昔の映画には、詩情はイメージだけでなく、詩がナレーションに流れたものです。

2011/01/31鑑賞 岩波ホール




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