真山青果の元禄忠臣蔵
初夏に忠臣蔵はどうかと思いましたが、
舞台は桜の季節、御浜御殿にて綱豊卿と義士がまみえた一エピソード。
真山青果ですので、人情噺ではありますが、
仮名手本とは違って、だれ憚ることなく史実らしく、
仇討ちの大義名分論とでもいうか、面白い論戦を見せてくれます。
後の6代将軍(正徳の治のあの賢人)綱豊を登場させ、新井白石に胸の内を語り、
よりリアルに描きます。
このころの綱豊は、綱吉とともに後継者と目されたほど英明高く、それがため、
世をはばかって、放蕩三昧を決め込んでいるらしい。
現在寵愛を受けている中臈ばかりでなく、
大年寄や御祐筆(秘書)というのもかつての御手つきなんでしょうね、
それはともかく、その寵愛をうけている中臈の芝雀の仮の兄が、染五郎の助右衛門、
仮の兄妹というのもちょっと訳ありの仲ですが、
とにかくその仲立ちで、吉良の面定のため綱豊邸にやってきます。
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綱豊は大石の放蕩ぶりの真意を理解できる唯一の人物として、登場させているのですね。
敵を欺くための放蕩、という理解を一笑に付します。
浅野家再興と仇討ちの矛盾、そこに苦しんでいるのだという、
人間的な深い憂いを見抜くのですね。
ここが真山青果たる、見所でしょう。
ただ、それはどうなのでしょう、
史実ということであれば、大石のこの浅野大学のお家復興の真意は、いろいろに論じられていて、
御公儀の誤った裁量をただす、その大義名分であって、
そもそも片手落ちの処分からは、名誉回復はあり得ない、
それを十分承知の上、といういたって冷静な手段であった、とも言われているようです。
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武士の面目云々は、ちょっと陳腐かなー、でもいいんです、
仁左さまのお殿様ぶりがよろしいですから…、
品があって相変わらず舞台で映えて、美しい。
あの萌葱色の小袖、お家の色じゃないかしら。
襲名のとき入手した銘入りの小物の色も萌葱色、羽織もそうだった。
この色あいをこなせるのは、仁左さまならでは。
そして、吉良に替わって能舞台を勤める、後ジテの姿の凛々しさ、
あの姿は「望月」という仇討ちのうたれる側の望月、らしいですが、
そんなきわどい演目をやらせるなんて、面白いですね。
黙阿弥の「盲長屋梅加賀鳶」
黙阿弥らしい、吉右衛門&幸四郎の科白の掛け合い、
それだけで黙阿弥調を楽しめます。
幸四郎の道玄、いいですね。
愛嬌がある極悪人という役柄ですが、
非情な極悪の面がやはりメインになっていなくてはいけない、
それでいてどこか品性がある、憎めない(愛嬌があるとはちょいと違う)
その矛盾したキャラクター、オンリーワン、幸四郎絶妙でした。
(話が突然変わりますが、コクーンの三人吉三、一つだけやっぱり納得できない点、
終幕美しいのですが、お嬢とお坊、反省しちゃっちゃーおしまいなのよ、黙阿弥作品で…!)
ご子息の染五郎は、幸四郎とは違う役柄で親を越えるのではないだろうかと思わせる、
その奮闘ぶりがなんといっても楽しみ、ファンです、すごーく。
踊りがよくって、この船弁慶も彼しかできない知盛を見せてくれました。
静と知盛どちらかに向くのはしかたがない、
玉三郎も菊之助もやはり静に重きがおかれてしまう、
でも、知盛で本領が発揮されるほうがいい、
染五郎の知盛は、哀しげだけど、平家の武将らしい気迫がある。
2メートルもあろうかと思われる跳躍、
そしてあの着地 
三響会で狂言の萬斎と競ったあの跳躍、操三番叟でも跳んでくれたあの技よ、
なのに、えっ!どうして拍手が起こらないの?!
ならば最後にわたくしめから…
パチ
パチパチ
(2007/6/17観劇)
初夏に忠臣蔵はどうかと思いましたが、
舞台は桜の季節、御浜御殿にて綱豊卿と義士がまみえた一エピソード。
真山青果ですので、人情噺ではありますが、
仮名手本とは違って、だれ憚ることなく史実らしく、
仇討ちの大義名分論とでもいうか、面白い論戦を見せてくれます。
後の6代将軍(正徳の治のあの賢人)綱豊を登場させ、新井白石に胸の内を語り、
よりリアルに描きます。
このころの綱豊は、綱吉とともに後継者と目されたほど英明高く、それがため、
世をはばかって、放蕩三昧を決め込んでいるらしい。
現在寵愛を受けている中臈ばかりでなく、
大年寄や御祐筆(秘書)というのもかつての御手つきなんでしょうね、
それはともかく、その寵愛をうけている中臈の芝雀の仮の兄が、染五郎の助右衛門、
仮の兄妹というのもちょっと訳ありの仲ですが、
とにかくその仲立ちで、吉良の面定のため綱豊邸にやってきます。
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綱豊は大石の放蕩ぶりの真意を理解できる唯一の人物として、登場させているのですね。
敵を欺くための放蕩、という理解を一笑に付します。
浅野家再興と仇討ちの矛盾、そこに苦しんでいるのだという、
人間的な深い憂いを見抜くのですね。
ここが真山青果たる、見所でしょう。
ただ、それはどうなのでしょう、
史実ということであれば、大石のこの浅野大学のお家復興の真意は、いろいろに論じられていて、
御公儀の誤った裁量をただす、その大義名分であって、
そもそも片手落ちの処分からは、名誉回復はあり得ない、
それを十分承知の上、といういたって冷静な手段であった、とも言われているようです。
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武士の面目云々は、ちょっと陳腐かなー、でもいいんです、
仁左さまのお殿様ぶりがよろしいですから…、
品があって相変わらず舞台で映えて、美しい。
あの萌葱色の小袖、お家の色じゃないかしら。
襲名のとき入手した銘入りの小物の色も萌葱色、羽織もそうだった。
この色あいをこなせるのは、仁左さまならでは。
そして、吉良に替わって能舞台を勤める、後ジテの姿の凛々しさ、
あの姿は「望月」という仇討ちのうたれる側の望月、らしいですが、
そんなきわどい演目をやらせるなんて、面白いですね。
黙阿弥の「盲長屋梅加賀鳶」
黙阿弥らしい、吉右衛門&幸四郎の科白の掛け合い、
それだけで黙阿弥調を楽しめます。
幸四郎の道玄、いいですね。
愛嬌がある極悪人という役柄ですが、
非情な極悪の面がやはりメインになっていなくてはいけない、
それでいてどこか品性がある、憎めない(愛嬌があるとはちょいと違う)
その矛盾したキャラクター、オンリーワン、幸四郎絶妙でした。
(話が突然変わりますが、コクーンの三人吉三、一つだけやっぱり納得できない点、
終幕美しいのですが、お嬢とお坊、反省しちゃっちゃーおしまいなのよ、黙阿弥作品で…!)
ご子息の染五郎は、幸四郎とは違う役柄で親を越えるのではないだろうかと思わせる、
その奮闘ぶりがなんといっても楽しみ、ファンです、すごーく。
踊りがよくって、この船弁慶も彼しかできない知盛を見せてくれました。
静と知盛どちらかに向くのはしかたがない、
玉三郎も菊之助もやはり静に重きがおかれてしまう、
でも、知盛で本領が発揮されるほうがいい、
染五郎の知盛は、哀しげだけど、平家の武将らしい気迫がある。
2メートルもあろうかと思われる跳躍、
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三響会で狂言の萬斎と競ったあの跳躍、操三番叟でも跳んでくれたあの技よ、
なのに、えっ!どうして拍手が起こらないの?!
ならば最後にわたくしめから…
パチ
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