昨年9月の文楽の通し狂言を思い浮かべながら、
人形浄瑠璃として残っていったものと、
見せ場をつくってメリハリをつけていった江戸歌舞伎と比べていました。
昨年国立の真山青果の「忠臣蔵」3部作もあったことだし、
やはり比べてしまいますよね。
さて大序(だいじょ)、
この場面の型が完全に残されている唯一のものらしく、名称が逐一あります。
<片砂切(かたしゃぎり)>とよばれる鳴り物、
幕前に珍しい人形振りの口上がありましてね、配役を紹介、
そして、幕が引かれていくのですが、
このときの能管、太鼓、小鼓の鳴り物<天王立下り端>というらしい。
幕はゆっくりと引かれていきます、
そう47の析の音(拍子木のことね)にあわせてなんですね。
ひとつひとつが意味いわれがあって荘厳でいいものです。
幕が開いて<置鼓><東西声>、
竹本の語りで登場人物が紹介されて、やっと役者に生命が吹き込まれていく、
このような演出を考えたことに、驚嘆ですね。
信二郎の足利直義、を挟んで、富十郎の高師直、菊五郎が塩冶判官
となれば、若い人というイメージの桃井若狭之助を吉右衛門でしめるしかなかったのでしょうね。
最初から重々しい、緊張感あふれる、場面となり、
短慮の殿様、ではなくなって、止むに止まれぬ堪忍の緒を切らざるをえない、
悲劇性が舞台を覆ってしまいます。
桃井若狭之助という熱血漢の殿様と本蔵というえらい家臣を、対極に据えることで、
悲劇をいっそうきわだたせる、すぐれた演出が効いてきます。
4段目切腹の場面、由良之助はまだか、まだか、の無念さ、
刀を刺さないと現れないのはわかっているのに、まだかまだかと私たちも待ってしまいます。
切腹の儀式、葬送の儀式、衣替えも含めて、全部舞台で見せる、
歌舞伎というこのすばらしい演劇に、今更ながら世界に冠たる日本の伝統に誇りを感じます。
城明け渡しの有名な場面は、背景の表門の、花道へと通じる舞台装置の工夫、
清元のお三味線でしょうか、情緒があって、歌舞伎もいいです。
それでも文楽のそれも玉男さんの、鳴り物だけのなか、無言で提灯の紋を刀で切り取り(幸四郎は紙を剥がす、がっかりです)、
黙って振り返りもせず(幸四郎は振り返るのですね)に城の門を後にしていく由良之助の姿は、
ずーと消えないような気がします。
のち
2007/2/20歌舞伎座
人形浄瑠璃として残っていったものと、
見せ場をつくってメリハリをつけていった江戸歌舞伎と比べていました。
昨年国立の真山青果の「忠臣蔵」3部作もあったことだし、
やはり比べてしまいますよね。
さて大序(だいじょ)、
この場面の型が完全に残されている唯一のものらしく、名称が逐一あります。
<片砂切(かたしゃぎり)>とよばれる鳴り物、
幕前に珍しい人形振りの口上がありましてね、配役を紹介、
そして、幕が引かれていくのですが、
このときの能管、太鼓、小鼓の鳴り物<天王立下り端>というらしい。
幕はゆっくりと引かれていきます、
そう47の析の音(拍子木のことね)にあわせてなんですね。
ひとつひとつが意味いわれがあって荘厳でいいものです。
幕が開いて<置鼓><東西声>、
竹本の語りで登場人物が紹介されて、やっと役者に生命が吹き込まれていく、
このような演出を考えたことに、驚嘆ですね。
信二郎の足利直義、を挟んで、富十郎の高師直、菊五郎が塩冶判官
となれば、若い人というイメージの桃井若狭之助を吉右衛門でしめるしかなかったのでしょうね。
最初から重々しい、緊張感あふれる、場面となり、
短慮の殿様、ではなくなって、止むに止まれぬ堪忍の緒を切らざるをえない、
悲劇性が舞台を覆ってしまいます。
桃井若狭之助という熱血漢の殿様と本蔵というえらい家臣を、対極に据えることで、
悲劇をいっそうきわだたせる、すぐれた演出が効いてきます。
4段目切腹の場面、由良之助はまだか、まだか、の無念さ、
刀を刺さないと現れないのはわかっているのに、まだかまだかと私たちも待ってしまいます。
切腹の儀式、葬送の儀式、衣替えも含めて、全部舞台で見せる、
歌舞伎というこのすばらしい演劇に、今更ながら世界に冠たる日本の伝統に誇りを感じます。
城明け渡しの有名な場面は、背景の表門の、花道へと通じる舞台装置の工夫、
清元のお三味線でしょうか、情緒があって、歌舞伎もいいです。
それでも文楽のそれも玉男さんの、鳴り物だけのなか、無言で提灯の紋を刀で切り取り(幸四郎は紙を剥がす、がっかりです)、
黙って振り返りもせず(幸四郎は振り返るのですね)に城の門を後にしていく由良之助の姿は、
ずーと消えないような気がします。
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