昼の部
三津五郎の若殿の幽閉先に、松緑の泥棒が忍び込んで、若殿を養うためにまっとうに働きはじめる、という
人情の機微を描くにかけては右に出る作家はいない、山本周五郎の作品です。
(必殺の剣なんてあるから、今は藤沢周平ワールドのほうが流行ですが…これも私は好きですが)
やっぱり原作がいい作品だと、歌舞伎化してもいいのですね。もちろん役者がいいからでもあります。
こういう人情もののお話には、松緑さんは似合う。
勧進帳は団十郎と菊五郎、梅玉です。もちろん、パリの団海老,ノリノリの亀治郎も若やいでいいですが、
天覧記念というこの配役、やっぱり最高です。
ところで、天覧歌舞伎って改めて認識しましたが、江戸歌舞伎の庶民性が高尚な梨園の歌舞伎になっていったきっかけがそれだったのですね。明治大正の演劇界の革新運動、昭和の映画、江戸の庶民性のままではここまで持たなかったのかもしれません。でも、常に精進を重ねつつも、伝統を守るだけではない、現代に蘇らせる挑戦もしてきたからこそ、今日があることも事実でしょう。
初役の海老蔵与三郎と菊之助お富、このコンビが次世代をになうことは間違いないわけですし、各々のお役、ということではなく、二人ついの役柄として向上していってほしいと、期待せずにはいられません。いまは与三郎の出で笑いがおこったり、名台詞がとってつけたようだったり、したとしても、です。海老蔵は器用ではないのですね、私はそういうところが贔屓です。
ところで、羽織り落とし、裏地がまた憎い、海老蔵は白地に成田屋のぼたんかしら?ここかしこに、やたら派手でした。
仁左さんのときはさりげない松嶋屋の紋、確か地色は萌黄だった、と記憶してる?!
女伊達、最近舞踊の(つまり女性の)を見て、イキでイナセっぽく、でも色っぽく、でいいなーと思ったので、
歌舞伎舞踊の男が女形で男っぽさもだす、ってちょっと考えたら、ぐるぐる回ってしまうようなものなのね、考えたことなかったですが。きれいな門之助とイナセな翫雀さんを従えてでてきた芝翫姐さん、よろしゅございました。安心してみてられました。
夜の部
羽左衛門さんが逝って7回忌なんですね。いい味してましたよね…。
伝説の美貌と謳われた羽左衛門はおじいさまにあたるのでしょうか、
萬次郎さんの女暫、ホントに立派でした。玉さまのよりよかったですよー!
なぜかって考えたんですが、やっぱり声ですね。女形なんだけど、巴御前の女傑の声にぴったりだったのです。
松緑さんの雨の五郎、きゃー、カッコよかった!!
手がね、きれいねー、弓なりにきゅっと決まって!
一番最近の、吉右衛門のがなんだかずーとこびりついていて、やっとイキのいい五郎に、払拭できた!
踊りの名手、というのを他は認めても自分ではいつも謙虚さを失わない、三津五郎のお人柄、
三ツ面子守もどうしてあんなにきれいなしぐさなんだろう!!
め組の喧嘩の菊五郎、時蔵(このおかみさんぴったり!)
そして菊五郎劇団の勢揃い、
どうして命の駆け引きなんかするのよ、アホなことするんじゃない、といいたいところですが、
なにせ、ええ格好シーの江戸っ子、しょうがないねー、頭もおかみさんも。
こりゃ、いったんは収まったとしても、またやるねー。
大立ち回りが見物だったのね。
2007/5/6 歌舞伎座
三津五郎の若殿の幽閉先に、松緑の泥棒が忍び込んで、若殿を養うためにまっとうに働きはじめる、という
人情の機微を描くにかけては右に出る作家はいない、山本周五郎の作品です。
(必殺の剣なんてあるから、今は藤沢周平ワールドのほうが流行ですが…これも私は好きですが)
やっぱり原作がいい作品だと、歌舞伎化してもいいのですね。もちろん役者がいいからでもあります。
こういう人情もののお話には、松緑さんは似合う。
勧進帳は団十郎と菊五郎、梅玉です。もちろん、パリの団海老,ノリノリの亀治郎も若やいでいいですが、
天覧記念というこの配役、やっぱり最高です。
ところで、天覧歌舞伎って改めて認識しましたが、江戸歌舞伎の庶民性が高尚な梨園の歌舞伎になっていったきっかけがそれだったのですね。明治大正の演劇界の革新運動、昭和の映画、江戸の庶民性のままではここまで持たなかったのかもしれません。でも、常に精進を重ねつつも、伝統を守るだけではない、現代に蘇らせる挑戦もしてきたからこそ、今日があることも事実でしょう。
初役の海老蔵与三郎と菊之助お富、このコンビが次世代をになうことは間違いないわけですし、各々のお役、ということではなく、二人ついの役柄として向上していってほしいと、期待せずにはいられません。いまは与三郎の出で笑いがおこったり、名台詞がとってつけたようだったり、したとしても、です。海老蔵は器用ではないのですね、私はそういうところが贔屓です。
ところで、羽織り落とし、裏地がまた憎い、海老蔵は白地に成田屋のぼたんかしら?ここかしこに、やたら派手でした。
仁左さんのときはさりげない松嶋屋の紋、確か地色は萌黄だった、と記憶してる?!
女伊達、最近舞踊の(つまり女性の)を見て、イキでイナセっぽく、でも色っぽく、でいいなーと思ったので、
歌舞伎舞踊の男が女形で男っぽさもだす、ってちょっと考えたら、ぐるぐる回ってしまうようなものなのね、考えたことなかったですが。きれいな門之助とイナセな翫雀さんを従えてでてきた芝翫姐さん、よろしゅございました。安心してみてられました。
夜の部
羽左衛門さんが逝って7回忌なんですね。いい味してましたよね…。
伝説の美貌と謳われた羽左衛門はおじいさまにあたるのでしょうか、
萬次郎さんの女暫、ホントに立派でした。玉さまのよりよかったですよー!
なぜかって考えたんですが、やっぱり声ですね。女形なんだけど、巴御前の女傑の声にぴったりだったのです。
松緑さんの雨の五郎、きゃー、カッコよかった!!
手がね、きれいねー、弓なりにきゅっと決まって!
一番最近の、吉右衛門のがなんだかずーとこびりついていて、やっとイキのいい五郎に、払拭できた!
踊りの名手、というのを他は認めても自分ではいつも謙虚さを失わない、三津五郎のお人柄、
三ツ面子守もどうしてあんなにきれいなしぐさなんだろう!!
め組の喧嘩の菊五郎、時蔵(このおかみさんぴったり!)
そして菊五郎劇団の勢揃い、
どうして命の駆け引きなんかするのよ、アホなことするんじゃない、といいたいところですが、
なにせ、ええ格好シーの江戸っ子、しょうがないねー、頭もおかみさんも。
こりゃ、いったんは収まったとしても、またやるねー。
大立ち回りが見物だったのね。
2007/5/6 歌舞伎座
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