昔、千葉方面から都内に向かう朝の総武線は
一両だけ、行商に行く人専用だった、と聞いたことがある。
みんな腰掛けずに、ずっと立ったままなんだそうだ。
現金収入で日銭を得るための、一家の労働力になったのは
ほとんどが農家の女の人だった。
当時は都内のあちこちで、よく見かけたものだけど、
今は稀だ。
昔からのルートを回っているのか、
それとも、新しく開拓しに行くのか。
しっかりした足取りで、まっすぐ進んで行った。
その人が一日無事で回れるように、
何にお願いしたらいいか分からないけど、
でもきっと大丈夫、と信じてる。