膝をついたまま動かない外国の人。
カメラを持った両手は膝の上に。
このまま見ていたいと思ったけれど私は去ります。
RICOH CX5で撮影
ジーナ・ローランズが好きだ。彼女の50歳の時の作品『グロリア』(1980)は夫のジョン・カサベテス監督の名作。
ギャングの会計を握っていた男は組織を裏切り報復にあう。一家はアパートから逃げようとしていたが間に合わず襲撃される。
グロリアは同じアパートに住んでいた。夫の妻の友人だった。たまたま何も知らずに「ねえコーヒー飲ませてよ」とドアをノックしただけで彼女の末っ子の男の子を託されてしまう。
自分の部屋に匿いながらも、自分と組織との関係はすでに過去のものとなった今、証拠を握っている少年をどうしようかと迷う。
行きがかりで連れてアパートを脱出したはいいが、奴らから逃げられっこないのは分っている。だが少年を街に置いていこうとしながらもどうしても組織の手に渡す事ができない。
この男の子が憎ったらしい事を言う。「ボクのおかあさんは美人だ。あんたなんかブスで年とっててババアだ」 「でも死んじゃった。だから私を頼るほかないんだよ」
逃避行の中で次第に中年女と少年の絆が生まれる。
ついにギャングの幹部と直接話をつけに行こうとするグロリア。
昔一緒に暮らしていたと話す彼女に男の子が言う。「恋人だったの?」アハハこの子ったら。
この二人の関係の距離感がたまらなくスリリングで切ない。
大丈夫よ、話の分るヤツだから、とにっこりして電話する。
映画に出てくる男たちはみんな年取っても保身ばかり。女と子どもはいつも踏みつけ。
ジーナ・ローランズ最高。特にこの『グロリア』は私のお気に入りの一本。
後にリメイク版も作られたがやっぱりオリジナル。