深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

臨床の現場から 1

2014-10-21 01:03:39 | 症例から考える

これは実際に私が診た例。BGMはアニメ『ツバサクロニクル』のOSTから「Hear our Prayer」。



その患者──仮にYさんとしておこう──は今、医療系の資格を取るために学校に通っている学生だ。そのYさんから治療を依頼する電話があった。

来てもらって話を聞くと、解剖見学(注1)──初めてのではなく、もう何度目かだったらしいが──の時、ホルマリンの匂いに気持ち悪くなってしまい、体調を崩したらしい。家に帰ると体がダルくなっていて食欲もなく、ちょっと熱もあったという。

ただ、そのダルさも熱も1,2日で取れたのだが、食欲だけが戻らず、それを診てほしい、ということだった。


ウチでは必ず治療を始める前にスイッチングを調べて、あれば除去することを行う。スイッチングとは日本語では神経学的混乱というが、内的、外的なさまざまの要因で、不意に相手の筋肉の強弱が変化してしまう現象のことで、これがあるとキネシオロジー的な検査ができない(注2)(スイッチングについては過去にいろいろな記事で述べているので、詳しくはそちらを参照されたい)。

で、いつものようにスイッチングを調べていくと、TOXIN(毒素)のスイッチングがあることがわかった。


よくキネシオロジーのパフォーマンスで、さまざまな物質を持たせたり体の上に乗せて筋力を調べ、その人の体に合った(あるいは合わない)物質を探すといったことが行われているが、それは検者、被験者の双方の筋肉が物質(実際には物質の波動)に対して正しく反応する、ということを前提として行われている。

そして、その前提を保証するのがTOXINによるスイッチングがない、ということだ。

TOXINによるスイッチングの検査は、毒素を持たせて筋力テストを行い、筋肉がアンロックする(=弱くなる)ことを確認する。毒素を持たせても筋肉がロックした(=強い)ままであるなら、その人の体は毒物を毒物として正しく認識できていない(=TOXINのスイッチングがある)ということを意味する(注3)


他のスイッチングの例に漏れず、TOXINによるスイッチングもある割合で発生するので、それ自体は特に珍しいわけでも、驚くべきことでもないのだが、その時ふとYさんの食欲不振の原因は、このTOXINのスイッチングにあるのではないか、と思った。

実はスイッチングを調べる前に、体の全般的な状態も診ていて、いろいろ問題が出てるな、ということは把握していたが、TOXINのスイッチングを除去することで、もしかしたらそれが一掃されるのでは、と感じたのだ。そして、その直感は当たった。

本当のことを言えば、治療はそれだけで終わったわけではなく(もしそうだとしたら、問診を含めて5分程度で終わってるところだ)、他にいくつかの化学物質に対する反応を取り除くとか、クラニオとフォーカシングで消化器系に働きかける、といったことをやっているのだが、メインはTOXINのスイッチングを除去することだった。


なぜTOXINのスイッチングが食欲不振と結びついたのか、というと、これはあくまで私の想像だが、Yさんの体も(それがホルマリンのせいだったのかどうかはわからないが)物質を正しく認識できないことを知っていて、だからそんな状態で食べ物が体の中に入ってこないようにしていたのではないだろうか。つまりYさんの食欲不振は、体がわざとそうしていたのではないか、と。


このように、一見病気と思えることが、実は体が敢えてそうしてるものであることがある。その場合、治療家が無理矢理それを「正常な状態に戻す」ことは、決していい結果をもたらさない。ただ、その辺の見極めは結構難しくて、Yさんの治療もほとんど直感と想像に従った。

が、その後Yさんは普通に食べられるようになったということなので、私の直感と想像もあながち的外れではなかったのかもしれない。

(注1)これは実際に献体された遺体をメスで切る解剖実習のことではない。日本では法律的に、解剖実習ができるのは医師、歯科医師と医学生、歯学生に限られる。それ以外の人ができるのは、既に実習で切り開かれた後の遺体を見たり触れたりできる解剖見学のみ。

(注2)一部では、スイッチングがあるとYes/Noが逆になるので、スイッチングがある場合はYes/Noを逆に解釈すればいい、と教えているところもあるらしいが、それは誤り。スイッチングはYes/Noを逆にするのではなく、テスト結果を不定にしてしまう(つまり、出てきたYes/Noが全く信頼できないものになってしまう)。なので、スイッチングは必ず除去しておかなければならない。

(注3)注2からもわかるように、その場合、ロックとアンロックが逆になることもあれば、何を持たせてもロックしたままであることもある。逆に、そういうことからも、スイッチングがある場合はYes/Noを逆に解釈すればいい、ということが誤りであることがわかる。


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