前回の「1」では因果律を出発点に、キネシオロジーで未来のことを聞くということについて考えてみた。もちろん、ここで私が書いていることはすべて考察の途中段階のものであり、ただの仮説。なので、書かれていることを無批判に信じ込まないように。
キネシオロジーでは筋反射テストを通じて、さまざまな情報を得ることができるのだが、ではその情報はどこからやって来るのだろうか? キネシオロジーで未来のことが聞けるのか、という問いは、そこに還元されていくと考えられる。
そしてそれは、そもそも筋反射とは何なのか、というキネシオロジーの根幹ともつながっていく。
筋反射とは何かについて以前からネットで調べているが、そこで見つかる答の多くは、「筋反射とはストレス反応」というのものである。例えば、体にとって好ましくない物質を持たせると筋力が弱化してしまうのは、体がその物質に対してストレスを感じているからだ、と。
けれど、私はこの答がどうも自分の中でシックリこない。そこで「筋反射=ストレス反応」説を追っていくと、どうやらそれはアプライド・ネシオロジー(AK)を創始したジョージ・グッドハートが言っていたことらしい。
そこで想像されるのは、「筋反射=ストレス反応」説は、グッドハートが筋反射について説明するために持ちだした1つの仮説に過ぎないが、それが「グッドハートがそう言ってるんだから、そうなんだろう」という形で筋反射の真実として広まり、定着したのではないか、ということだ。
そう考えると、「筋反射はストレス反応だ」というのもただの仮説以上のものではなくなる。実際、キネシオロジーを使っていると、「筋反射=ストレス反応」説では説明できない多くの事例に遭遇する。そもそも筋反射によってアクセスしているはずの情報は、どこに、どのようにあるのだろう?
その問いに対する現時点での私自身の答は、この世界のあらゆる存在(注1)は場を形成していて、筋反射はストレス反応などではなく、場との共鳴現象だ(注2)というものである。
場とは、ザックリしたイメージで言えば、それ自体は何の属性も持たないただの入れ物だが、そこに入ったものによって何らかの性質を帯び、他への影響を持つようになるもの、である。もともとは物理学の世界でエーテルの存在が否定された後、磁力や重力が遠く離れた場所に影響を及ぼす原理を説明するのに持ち出されたものだという。
場についてのもう少し物理学的(数学的)な説明を、Wikipediaから取ってきたものを私が一部書き換えた形で引用すると
物理学において、場は時空の各点に関連する物理量である。場では、座標および時間を指定すれば、(スカラー量、ベクトル量、テンソル量などの)ある一つの物理量が定まる。つまり、数学的には空間座標が独立変数となっているような関数として表現できることがその特徴である。
場は空間の全てに渡って広がっていると考えられるが、実際問題として、ある程度の遠距離では全ての既知の場の強度は検出できないくらいまで弱められる。
場を"空間中の数"として定義する際に、場は物理的実体を持つとみなされている。場は空間を占有し、エネルギーを含み、その存在は真の真空を排除する。真空は物質がない状態であるが、場は存在する。
場は空間内にある状態を生み出す。その状態は静的なものではなく動的(dynamic)で、だから場はある種の力学系(dynamical system)であり、時間その他の影響を受けて絶えず変化している。
物質、現象、状態、観念などさまざまなものが、それぞれの場を形成している、と考えられる。例えばルパート・マードックは生物の形態を決定する形態形成場(注3)というものの存在を主張しているし、ロジャー・キャラハンは自身が開発した思考場療法(TFT)を、ツボへのタッピングによって人の思考が形成した場(思考場)を消し去るもの、と説明している。
そして、この世界に存在するものは全て情報に還元することができる。つまり、物質も現象も状態も観念も、我々自身の存在すらも、突き詰めれば全て情報の集まりにすぎない、ということであり、その情報を何らかの形で処理し、解釈した結果として、物質や現象や状態や観念が存在している(かのように認識している)のだ。
とするなら、場とは情報そのものであり、存在に関わるあらゆる情報がそこにある、という点で、それは影のようなものでありながら、実は場こそが存在の実体であるとも言える。
そして、光の反射(という情報)を視覚器が捉えて像として解釈するように、空気の振動(という情報)を聴覚器が捉えて音として解釈するように、筋肉もまた場の情報にアクセスし、その結果を筋反射という形で解釈する、感覚器としての作用も持っているのかもしれない。
──と、このように考えていくと、「キネシオロジーで未来のことが聞けるのか?」という問いは、「場が保持する情報には未来の情報が含まれているのか? 含まれているとすれば、どんな形で、どこまでの情報が含まれているのか?」と言い換えることができる。
この問いに対しては、量子論の解釈の1つである「時間対象化された解釈」を用いると面白い答が得られる。「時間対象化された解釈」では、
過去における状態のみでなく、未来の状態も用いて(現在の状態の)確率を求める。
つまり、現在の状態を(確率的に)求めるためには、過去の状態のみならず未来の状態まで情報として保持していなければならない、ということになる。
もしそうだとすると、情報として保持されている以上、何らかの形でそこにアクセスすることは可能だと考えられる。
けれども、そうした情報がどのように保持され、筋反射はそこにアクセスできるのか、などは、残念ながら現時点では私にはわからない。ただ、上に引用した場の説明の中の
場では、座標および時間を指定すれば、(スカラー量、ベクトル量、テンソル量などの)ある一つの物理量が定まる。つまり、数学的には空間座標が独立変数となっているような関数として表現できる
という部分が何かのヒントを示しているように思われる。
また「時間対象化された解釈」は治療に使うことができる。それについれは、過去記事「『時間対象化された解釈』に基づく治療」を参照されたい。
(注1)ここでいう存在とは、単に物質的なものを指すのではなく、状態や現象などの非物質的なものまで含めた意味の存在。
(注2)もう少し正確に言えば、場が保持する情報との共鳴現象、ということになる。
(注3)形態形成場については、過去記事「形態形成場についての考察 1」、「形態形成場についての考察 2」を参照されたい。
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