施術をしていると、表面的に現れている問題を取り去ってもほとんど症状が改善しないようなケースにもよく出合う。そういう場合は更に、隠された問題を表面化させなければならない。それにはいろいろな方法があるが、ウチではよく言葉や写真、絵画などを使っている。
そこで最近、女性の患者に比較的多く使っているのが「女性性」に関わるものである。例えば言葉では「女であること」。この言葉によって隠れていた問題が浮かび上がってくることがたびたびあった。更に上の言葉から、絵画では甲斐庄楠音(かいのしょう ただおと)の『横櫛』、上村松園の『焔(ほのお)』なども用いていて、実際に反応が得られている。
本当は『横櫛』も『焔』も実際にここに貼り付けて見せたいところだが、著作権の関係もあってそうもいかないので、興味のある人は自分で調べてみてほしい。検索すれば簡単に行き着く。『焔』もさることながら、『横櫛』は見ていると体の内側がゾワゾワして平静ではいられなくなるくらい、私にとって怖い絵だ。
今はかつてないほどジェンダーの問題が社会的にクローズアップされていて、この「女であること」という言葉に対する反応もそうしたことと無縁ではないと思うけれども、浮かび上がってくるものは、そうした社会的なもの以上に生物としての根源的な部分とつながっているように私には思える。
いずれにせよ、特に女性患者にはその症状と直接関係あるかどうかは別として「女であること」に関わる隠れた問題がある、ということは頭の片隅に置いておいた方がいいようだ。
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