深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

臨床の現場から 5

2016-05-29 09:15:42 | 症例から考える

定期的に来てくれているYさんの今回の主訴は、喉から腹部にかけての正中付近のシクシクする/ピリピリするような感じ、ガスが溜まっているような下腹部の圧迫感だった。

ここ最近、サバなどの魚を食べた後で体臭がきつくなっているような気がする、という話も出たので、魚での反応を調べてみることにした。使うのは近所のスーパーの折り込チラシから切り抜いた食材の写真だ。残念ながらサバの写真はなかったが、いくつか魚介類の写真でキネシオロジー的に調べたところ、ブリとホッケで反応あり。そこで更に詳しく調べると、まず頭部で、腹部にブリとホッケの写真を乗せた時だけ、扁桃体と海馬に「弱さ」が現れることがわかった。

実は以前からYさんには、匂いについて相談されていた。突然、周囲から(時には自分の体から)強い加齢臭のような匂いがすることがある、と。その話を聞いて私は最初、Yさんが匂いを気にしすぎているだけか嗅覚の過敏を疑っていたのだが、いろいろ話を聞いているとそれだけでは説明できないものがあり、ずっと調べていた。その結果、最近になってある条件下でYさんの扁桃体と海馬に「弱さ」が現れることがわかった。扁桃体は情動、海馬は短期記憶に関わる脳の一部である。

そのことから、何らかの条件下でYさんの感情が(無意識的に)揺さぶられるなど扁桃体に負荷がかかると、それが海馬を刺激して過去の匂いの記憶を引き出し、現実にはそこに存在しないはずの匂いを感じるようになるのではないかという仮説を立て、今はそういう方面からアプローチしている。ただ、ブリとホッケの写真で扁桃体と海馬に弱さが現れる、というのは今回初めてわかった(これまでは別の条件下で弱さを検出して、それを取ることをやっていた)。

そこで、今回もまずその「弱さ」を取ることを行った。が、それだけでは主訴である前正中線付近のシクシクする/ピリピリするような感じが消えなかったので、別の方向からも調べる必要が生じた。

そこで気づいたのは、腹部にブリとホッケの写真を乗せると、左右の脾経ライン上のツボである陰陵泉、地機などにも反応が現れることだった。

東洋医学(中医学)での脾は西洋医学的には膵臓、脾臓に対応し、脾は胃と表裏関係にあることから消化器系も調べたが、明確な問題は検出できなかった。ところが五行の木―火―土―金―水に対応する肝―心―脾―肺―腎―肝―…と巡るエネルギー循環のルートでは、脾―肺―腎部分のエネルギーの流れがスムーズではなくなっている。つまり西洋医学的な臓器には明確な異常はないが、東洋医学的な臓腑には問題がある、ということだ。

西洋医学的な臓器は目で見えて手で触れられる、あくまで物質的なものだが、東洋医学的な臓腑は、もっと概念的、エネルギー的な存在であり、上には「脾は西洋医学的には膵臓、脾臓に対応し」と書いたが、実は両者の間に完全な対応関係はない。だから一方の側からは問題が見つからなくても、もう一方の側から見つかることがある。今回もそういうケースだった。

で、最終的にはそれをテクスチャー・セラピー(と私が勝手に読んでいるもの。これについては過去記事、例えば「テクスチャー・セラピー、その後7」などを参照されたい)で取って、前正中線付近に出ていた不快感もかなり軽減した状態で治療を終えることができたのだが、その時、筋反射テストで出てきたのが講談社ブルーバックスの『図解・内臓の進化』だった。

テクスチャー・セラピーでは、筋反射テストで出てくるのは仏像の写真だったり数学書の一部だったりと、なぜそれなのか説明できないものが大半なのだが、今回はあまりにベタなチョイスにちょっと笑ってしまった。これはYさんの臓が、自身の状態を改善させるために発生学的なレベルの情報まで必要としていた、ということなのだろうか?

ちなみに私は『図解・内臓の進化』は持っていたものの、これまで全然手を付けていなかった。これを機会にちょっと読んでみるか…。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« "Alone"──孤独 | トップ | 脳はなぜ「心」を作ったのか »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

症例から考える」カテゴリの最新記事