恐らく、こんな仕事をしていれば誰でもわかることだが、「痛いところ=悪いところ」という図式は全く成り立たない。「痛いところ=悪いところ」なら、とにかく痛いと言われたところだけ見て、揉む/鍼を打つ/テーピングする、で何とかなってしまうわけで、こんな楽な仕事はザラにはない、ということになるが、世の中そんなに甘くない。だからこそ、この仕事を何年もやっていく意味があるのだと言える。これは、私がそのことを鮮烈に感じたケース。
その人の主訴は膝の痛み。以前、スキーのジャンプをやって転倒し、膝の靱帯を損傷したことがあるという。もちろん、ウチに来た時は損傷した靱帯は完全に治っていたのだが、ジムでのトレーニングで、スクワットなどをしばらくやっていると膝の内側が痛み出すらしい。
最初は靱帯損傷の後遺症かとも思われたが、膝まわりの整形外科テストをやっても、いずれも陰性。膝に触れると、痛みが出るという内側ではなく膝窩(=膝裏)に弱さがあり、直接的な原因はどうも膝窩筋の弱化にあるようだった。しかし、何回かかけて、それを追っていった結果は意外なものだった。
まず膝窩筋を調べると予想通り弱化していたが、それは肝臓/胆嚢の問題から二次的に起こっていたものだった。膝窩筋はアプライド・キネシオロジー(AK)では胆嚢の関連筋だから、それは想定の範囲内であり、胆嚢は肝臓の下にくっついているので、当然、肝臓の影響を受ける。
ということで、肝臓・胆嚢を治療した。具体的には、肝臓・胆嚢の自動運動(各臓器に固有の周期的運動)の乱れを、内臓マニピュレーションという方法によって調整したのである。で、これで一件落着…と思っていたのだが、何日かすると膝痛も肝臓・胆嚢の問題も再発してしまう、ということが続いた。
ある時、肝臓・胆嚢の自動運動の乱れには硬膜が絡んでいるのでは、とふと思いついた。硬膜とは、脳~脊髄全体を覆う三層の膜の一つで、体の中心線全体を包んでいるわけだから、硬膜のある部分の問題が全身に影響することもあり得る。さっそく調べてみたら、側頭部に硬膜の強い緊張があるのを見つけたので、それを解放してみた。すると、肝臓・胆嚢の自動運動が正常化し、膝窩筋の弱化も消えていた。
…という話を患者にして、何か心当たりはないかと尋ねたところ、「そういえば、ジャンプで着地に失敗してコケた時、頭の横を打った」と。つまり、その人は
側頭部の強打 → 側頭部の硬膜の緊張 → 肝臓・胆嚢の自動運動の乱れ → 関連筋である膝窩筋の弱化 → 膝痛
という流れで、主訴である膝痛が出ていた。言ってみれば、その人は頭を打ったことで膝が痛くなったのである。
その人はその後、心理学を学ぶためにオーストラリアに行ったが、日本を離れる直前まで膝痛の再発はなかった。
その人の主訴は膝の痛み。以前、スキーのジャンプをやって転倒し、膝の靱帯を損傷したことがあるという。もちろん、ウチに来た時は損傷した靱帯は完全に治っていたのだが、ジムでのトレーニングで、スクワットなどをしばらくやっていると膝の内側が痛み出すらしい。
最初は靱帯損傷の後遺症かとも思われたが、膝まわりの整形外科テストをやっても、いずれも陰性。膝に触れると、痛みが出るという内側ではなく膝窩(=膝裏)に弱さがあり、直接的な原因はどうも膝窩筋の弱化にあるようだった。しかし、何回かかけて、それを追っていった結果は意外なものだった。
まず膝窩筋を調べると予想通り弱化していたが、それは肝臓/胆嚢の問題から二次的に起こっていたものだった。膝窩筋はアプライド・キネシオロジー(AK)では胆嚢の関連筋だから、それは想定の範囲内であり、胆嚢は肝臓の下にくっついているので、当然、肝臓の影響を受ける。
ということで、肝臓・胆嚢を治療した。具体的には、肝臓・胆嚢の自動運動(各臓器に固有の周期的運動)の乱れを、内臓マニピュレーションという方法によって調整したのである。で、これで一件落着…と思っていたのだが、何日かすると膝痛も肝臓・胆嚢の問題も再発してしまう、ということが続いた。
ある時、肝臓・胆嚢の自動運動の乱れには硬膜が絡んでいるのでは、とふと思いついた。硬膜とは、脳~脊髄全体を覆う三層の膜の一つで、体の中心線全体を包んでいるわけだから、硬膜のある部分の問題が全身に影響することもあり得る。さっそく調べてみたら、側頭部に硬膜の強い緊張があるのを見つけたので、それを解放してみた。すると、肝臓・胆嚢の自動運動が正常化し、膝窩筋の弱化も消えていた。
…という話を患者にして、何か心当たりはないかと尋ねたところ、「そういえば、ジャンプで着地に失敗してコケた時、頭の横を打った」と。つまり、その人は
側頭部の強打 → 側頭部の硬膜の緊張 → 肝臓・胆嚢の自動運動の乱れ → 関連筋である膝窩筋の弱化 → 膝痛
という流れで、主訴である膝痛が出ていた。言ってみれば、その人は頭を打ったことで膝が痛くなったのである。
その人はその後、心理学を学ぶためにオーストラリアに行ったが、日本を離れる直前まで膝痛の再発はなかった。
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