古式に則って正月(場所によっては旧正月)に五穀で粥を炊き、その結果によってその年の吉凶を占う粥占(かゆうら)。2023年も各地の寺社で行われ、結果が出揃ったようだ。
中でも長野にある諏訪大社下社春宮の粥占(ここでは「筒粥神事」と呼ぶらしいが)は毎年、多くの粥占ウォッチャー(?)が注目していて、その結果が話題に上る。というのも、ここの粥占は過去に東日本大震災や新型コロナ・パンデミックを当てていたのではないか、と言われているからだ(その辺りのことは過去記事「神託は下った」を参照されたい)。
で、今年2023年の結果について「長野日報」の記事の一部を引用すると
下諏訪町の諏訪大社下社春宮で14日夜に始まった「筒粥神事」は、15日早朝に釜揚げしたヨシの茎を割り、今年1年の世相と農作物の豊凶を占った。五分を満点とする「世の中」は、昨年を一厘下回る「三分五厘」。農作物は43品目中、「上」が13品目、「中」が27品目、「下」が3品目だった。
とある。「三分五厘」ということはつまり、2023年は縁切りを意味する「三行半(みくだりはん)」が突きつけられた、ということであり、粥占の結果は「大凶」と出たのである。
ただ解せないのは、この結果に対する神職の反応だ。これまでは粥占で「三分五厘」が出ると、権宮司が「今年は怖い1年。過去20年間で最も悪い結果が出た」などと声明を出していたのが、今年の「長野日報」の記事は
神職は「いつも筒粥神事を行う夜は冷え込むが、今回は珍しく暖かかった。今年は穏やかな1年になるのではないか」と話していた。
と伝えている。それは結果を過大に受け取るな、というメッセージなのか、あるいは同じ「三分五厘」でも過去のそれとは違っていたのか──?
ちなみに、各地の神社で行われた粥占では、
岩手県一関市の白澤神社:農作物によって出来に差
岩手県平泉町の毛越寺:農作物の出来は全体的に悪く、中でも稲が悪い。天候は風は平年並みだが雨が極端に多い
山梨県富士吉田市の小室浅間神社:農作物は全体的に不作、富士山の登山者数の道者は「少ない」との結果
長野県木曽町の南宮神社:「世の中」七分九厘
神奈川県伊勢原市の大山阿夫利神社(下社):春から夏の前半は安定的な気候で推移、秋から冬にかけては少し注意が必要となるが、総じて穏やかな1年
岐阜県高山市の伊太祁曽神社:農産物は例年並みで、景気は観光が良くなる
岐阜県飛騨市の飛騨一宮水無神社:稲や麦、大豆、葉物野菜はまずまずの出来になり、天候は前、中期に雨が多い
京都府亀岡市の出雲大神宮:今年はどの時期も甲乙つけがたいほど米の色が薄く、小豆の量も少ないので、良い米が作れる(注:ここでは米の割合が多いほど豊作で、色が赤いほど日照りになるとされる)
和歌山県橋本市の隅田八幡神社:稲は「わせ」と「なかて」が豊作になる
兵庫県丹波市の折杉神社:農作物は全体的に「中」の結果。天候は上半期は「照る」「降る」が半々で下半期は「照る」が比較的多い
佐賀県基山町の宝満神社:悪いとされる黒色や赤色のカビもなく、天災などがない穏やかな年になるのではないか
といった感じで、占いの結果としては農作物の出来不出来は地域によって差はあるものの、全体として大きな変事をうかがわせるようなものはない。
さて、諏訪大社下社の三分五厘、意味するものは何か?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます