統計学者のジェフリー・S・ローゼンタールが世の中の不可解で理不尽な出来事を統計学の立場から解き明かした本、『それはあくまで偶然です』。その第18章「ここらでちょっと一休み──ラッキーなことわざ」には、運や偶然にちなんだ、さまざまなことわざやアフォリズム(箴言)が集められている。
その中の1つに
With proper medication you can cure cold in seven days, but left to its own devices, it takes a week.
というのがあった。意味は「適切な薬を服用すればカゼは7日で治るが、放っておくと治るまでに1週間かかる」である。
いくつかの単語を拾い読みしただけだと、きちんと医療を受けることの大切さを説いているように見えるが、もちろんそういうことではない。カゼなど薬を飲もうが放っておこうが7日=1週間程度で治る、と言っているのだ。
これを見て、先日、あるサイトに来ていたこんな質問を思い出した。質問者は首を捻挫して動かせなくなり、整骨院に通っているという。
何回か施術を受けると首の痛みが取れて動かせるようになったが、そこの先生に首の筋肉が硬くなっていると言われて一度マッサージを受けたら、施術後に首が突っ張って、二度目にジンジンして、また動かせなくなってしまった。先生に聞くと、「それは筋肉痛だから明日も来るように」と言われたが、言われたとおり続けて通うか安静にしているか、どちらがいいのか?
というような質問だった。
それに対して私も回答者の1人として、
あくまで私の想像だが、いわゆる「強揉み」を受けて患部が炎症を起こした(いわゆる「揉み返し」を起こした)のではないかと思う。そんな施術を平気でしている治療院には、私なら怖くてとても行けない。だから、そんな先生の指示は無視して行くのは止め、まずは安静にして様子を見るべき。
という旨の回答をした。
質問者は男であるということ以外。年齢も職業も不明だが、最初の「首を捻挫した」というのは多分、寝違えを起こしたのだろうと思われる。単純な寝違えなら仮に何もしなくても数日もすればよくなるから、「整骨院で何度か施術を受けて、痛みも取れて動かせるようになった」というのも、本当のところ施術の効果だったのかどうか疑わしい。まさに「適切な薬を服用すればカゼは7日で治るが、放っておくと治るまでに1週間かかる」である。
いや、この質問者の場合、その整骨院が余計な施術をしたことで、本来なら治っていたはずが逆にひどくなってしまった可能性があるわけで、むしろそんな施術は受けなければよかった、ということになる。
さて、この質問者がそんなハズレの整骨院を引き当ててしまったのは、単なる偶然か、それとも彼の何かが引き寄せた結果か? この問題については『それはあくまで偶然です』を読んで判断されるのがよろしいかと。
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